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被災地支援に携わる司法書士 2

更新日:2018年6月28日

-震災特有の案件にはどのようなものがありますか。

震災が要因となっている案件としては、やはり相続登記に関するものが多いです。その他には、抵当権の抹消や震災孤児の未成年後見人に関するものがあります。この3つが多いです。

-相続登記では、どのような特徴がありますか。

今まで登記手続きをしていなかったものが多いです。買上の対象地域では、国土交通省が買うとなって初めて登記簿をみた方もたくさんいて、登記簿を見ると実は自分の名義じゃなかったとか、何代も前の人の名義になっているとか…。

-何代も前の名義になっている場合どのように処理するのですか。

2つのパターンが考えられます。まずは、旧民法の規定による家制度の中で行われていた家督相続ですね。家督相続では、戸主が家の財産を全部相続してほかには相続人がいないので、戸主から戸主へとトントンと相続されていくんです。なので、割と単純ですね。ただ、それ以外のものもたまにあって…昔は戸主が土地の名義人であることが多いのですが、なぜか戸主ではない女性の名義になっていたりするものがあります。そうすると遺産相続になるので、戸主から戸主ではなく、子が相続人となることが多いため、そこから相続人探しが始まり、芋づる式に相続人が広がっていきます。

-かなり大人数になってくるんですね。

私が持った案件では多くて30名ぐらいですけど…それでも少ないほうで、聞いた中では160名というのもありました。30名程度であれば少ない方ですね。

-少ないといっても、手続きを進めるには全員に連絡を取らなければならないですよね。

そうですね。取得する相続人に協力してもらって、手紙を出すなりして協力依頼をするしかありませんね。中には認知症の人や行方不明の人が出てきたりします。そうすると、手続きがなかなか進められません。

-行方不明の方は大勢いらっしゃいますか。

私が担当した中では1件ぐらいしかありませんでしたが、結構いるみたいです。でも、調べると見つかるケースが多くあります。本当にいないようなパターンは少ないと思います。

相続登記とは…

不動産の所有者が死亡し相続が開始すると、相続人に所有権が移転する。しかし、被相続人名義のままではその不動産を売却したり、担保に入れることもできないため、相続登記申請を行い、不動産の名義を変える必要がある。被災地で問題となっているのは、震災前から相続が発生しても相続登記をしないまま長期間放っておいたために、不動産が何代も前の“祖先”の名義になっている等、遺産分割協議に加わる人の数が増えてしまっているケース。

-相続人の多さ以外に特徴的なものはありますか。

その他には、牡鹿半島で特有だと感じたのは、土地の売買を口約束でしていることが多々ある、ということですかね。「隣のおじちゃんから買った」ということがあるみたいです。

-不動産の売買なのに口約束ですか?

信じがたいかもしれませんが、結構あるんですよ。その上に建物を建てて、津波で流されて…その土地が買上の対象になっていても、土地の名義人が隣のおじちゃんのままなので、そこに住んでいた人には権利がないんです。

-そういう時はその隣のおじいちゃんを探すことになるんですよね。

そうですね。見つかれば話し合いをして名義を変える手続きを進めればいいんですが、なかなか話がまとまらないですよね。見つからない場合も結構あって、そういったときには不在者財産管理人や代理人を立てて裁判を起こすしかないですね。ただ、費用対効果を考えると、泣き寝入りするしかないということもあります。プラスになるような金額で買ってもらえればいいですが、そうなるかどうかわからないので判断が難しいですね。

※震災法律援助業務による無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替については、「東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律(震災特例法)」の失効により、令和3年3月31日新規申込受付を終了しています。

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