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被災地支援に携わる司法書士 4

更新日:2018年6月28日

-復興が進んでいると感じるのはどんな時ですか。

私の目から見ると復興が進んでいるとは感じないです。津波の被害の大きかった沿岸部などにも相談に行くことがあるのですが、まだ「道路に信号がやっとできた」「前に来たときには積み上がっていた瓦礫がなくなった」という状態です。

-どのような点から復興がまだ進んでいないと感じますか。

私は基礎がまだできていないと思いますね。どれだけ防潮堤を作るのに必要な材料や人材が集まっていても相続登記が未了で土地を売ることができなければ、何にも進みません。復興に関する自治体の事業の多くは、用地買収が必要です。しかし、震災から3年経った今でも地権者との話し合いができておらず、なかなか買収が進んでいない地域が多いです。用地買収を進めなければ、防潮堤を作ることも高台移転を進めることもできません。ここをなんとかすれば復興は進んでいくと思います。ただ、相続登記をするために、巻物のような家系図を辿って相続人調査を行うことも多いので、相続登記を簡単に進める法律を作るなどしなければ何十年かかっても防潮堤を作るのは難しいのではないかと思いますね。

-法テラス東松島で開所当時から相談をご担当いただいていますが、相談内容に変化はありますか。


武野司法書士が相談を担当する法テラス東松島

司法書士への相談ということに絞って答えます。東松島市は、早い段階で用地取得の通知を被災者へ送付していました。住民たちに用地買収の通知が届き、手続きを進めなければならない時期に法テラス東松島ができたので、開所当時は登記に関する相談で常にいっぱいでした。最近では、登記が出来るところはもう既に処理が終わっていて、登記に関する相談は減ってきました。震災によって起きた問題から、認知症の方の後見問題等の一般的な相談へと変わってきています。


-一般的な問題で最近多い相談とはどんな相談ですか。

個人破産の事件が増えてきているように感じます。震災直後には、債権者からの請求が止まっていたが、1年前ぐらいから請求が来るようになって、義捐金で少しずつ返済してきたけれども義捐金も底をついてきて…東北の方は律儀な方が多くて、破産を進めても「支払う」という方が多いんですよ。抱え込んでしまうようなタイプの方も多く、今後、破産手続が必要になる方が増えるのではないか、と。そうすると、司法書士が法テラスの制度を利用して事件を受任する機会も増えてくるのかな、と思います。

-今後増えてくる相談には、どのようなものが考えられますか。

共同農地の問題ですかね。

-「共同農地」とは何ですか。

知り合い10名くらいで組合を作って、共有で耕作する農地です。大震災の後、自治体の買上の対象となって、手続きをしようと思ったら共同農地だと分かったケースがでています。私が見たケースでは、共同名義人の半分の方が震災等で亡くなっていて、相続人が全部で150名にも上るというものがありました。

-他にも増えそうな案件はありますか。

仙台市内では、マンションの建替えの問題が出てきています。東日本大震災を受けて、耐震性の低いマンションを建て替える必要が出てきますが、区分所有者のほぼ全員から同意をもらわないと建替えができません。この件に関しては、弁護士会が動き始めているようですが、今後増えてくると思います。

※震災法律援助業務による無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替については、「東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律(震災特例法)」の失効により、令和3年3月31日新規申込受付を終了しています。

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