法テラス新潟

【法テラス新潟】スタッフ弁護士コラムを開始します

法テラス佐渡法律事務所のスタッフ弁護士によるコラムを開始します。 身近な法律問題をテーマに、皆さまに知っていただきたい情報を発信していきます。

第一回目 「SNS詐欺」

1.SNS詐欺とは
 SNS詐欺とは、X(旧Twitter)、LINE、Facebook、InstagramなどのSNSを悪用して行われる詐欺行為のことです。
 SNSは世界中の人とつながることができ、しかも匿名で利用することもできます。詐欺師は、このようなSNSの特性を逆手に取って被害者からお金をだまし取ろうとするのです。


2.SNS詐欺の種類
⑴ なりすまし詐欺
 実在する人の氏名や画像を勝手に使用して偽のアカウントを作成し、本人になりすまして友人・知人などに金銭を要求するという詐欺です。芸能人の偽アカウントが作成され、詐欺に利用されるという事例も最近話題になりました。

⑵ フィッシング詐欺
 フィッシング詐欺とは、ショッピングサイトや金融機関の公式サイトなどに酷似した偽のサイトにユーザーを誘導し、ログイン情報や氏名、クレジットカードなどの重要な情報を入力させるという詐欺です。詐欺師はこのようにして取得した情報を悪用してネットバンクから出金したり、クレジットカード決済で商品を購入したりします。

⑶ チケット詐欺
 チケット詐欺とは、SNS上の個人間取引を装い、コンサートやライブ等のチケットを「売ります」という情報を流し、代金だけ受け取ってチケットは送付しないという詐欺です。

⑷ 出会い系詐欺
 SNS上で魅力的な人物になりすましたアカウントを作成して異性にアプローチし、相手の恋愛感情を利用してさまざまな口実で金銭をだまし取るものです。

⑸ 副業詐欺
 副業詐欺とは、「誰でも確実に稼げる」、「簡単に儲かる副業を教える」などのうたい文句で副業に勧誘し、稼ぐために必要な情報商材等を高額で売りつけるなどして金銭をだまし取るという詐欺です。

⑹ 投資詐欺
 投資詐欺とは、「確実に儲かる」、「元本保証」などのうたい文句でFXやデイトレードなどの投資に勧誘され、投資資金をだまし取ったり、高額の情報商材やツールなどを売りつけたりする詐欺です。


3.SNS詐欺に遭わないための注意点
⑴ 安易に個人情報を公開しない
 個人情報が流出すると、詐欺師に悪用されるおそれがあります。実名・顔出しでSNSを利用するだけでもなりすましの被害にあう可能性があります。インターネットに書き込んだことは世界中の人に見られる可能性があることを常に意識すべきです。

⑵ 安易にリンクや広告を開かない
 SNS上のリンクや広告の中には、詐欺師が仕込んだ罠も少なくないので、安易に開いてはいけません。リンクや広告に興味を持った場合は、それを開くのではなく、企業の公式サイトなど元々の情報提供者のサイトからアクセスするようにしましょう。

⑶ IDやパスワードを使い回さない
 インターネットを利用する際に同じIDやパスワードを使い回していると、SNSなどを乗っ取られる原因となりかねませんので、面倒でも異なるID・パスワードを設定しましょう。


4.SNS詐欺にあったときの対処法
⑴ SNSの運営会社に通報する
 SNS詐欺にあったとき、例えばSNSで誰かがあなたになりすましているのを発見した場合は、そのSNSの運営会社に通報することです。本人確認をしてなりすましの事実を確認すると、偽アカウントは停止・削除されます。

⑵ アカウントのIDとパスワードを変更する
 SNSのアカウントを乗っ取られた場合など、ログイン情報を他者に知られてしまったことがわかったときは、直ちにそのアカウントのIDとパスワードを変更しましょう。

⑶ クレジットカード会社に連絡する
 フィッシング詐欺などでクレジットカード情報を他者に知られてしまった場合は、ただちにカード会社に連絡して利用停止を申し出ましょう。身に覚えのない利用があった場合も、カード会社に申し出てください。

⑷ 専門家に相談する
 SNS詐欺については組織的な犯行グループが犯罪に関与している場合があります。そのような場合には被害者が1人で問題を解決することは困難であるといえます。そのような場合には消費生活センター、警察、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。


5.SNS詐欺で金銭的被害にあったときに返金してもらう方法
⑴ クーリングオフをする
 詐欺師にだまされて情報商材や副業に使用するツールなどを購入させられた場合は、クーリングオフできる可能性があります。クーリングオフとは、契約から8日以内であれば購入者が無条件で契約を解除できる制度のことです。クーリングオフをすれば、契約が初めからなかったことになり、既に支払った代金の返還を受けられる可能性があります。

⑵ クレジットカード会社に相談する
 詐欺師にだまされてクレジット決済を利用した場合は、すぐカード会社に連絡してください。代金が支払われた後でも、返金を受けられる可能性があります。

⑶ 詐欺師と交渉する
 詐欺師と連絡が取れる場合には、交渉により返金を受けられる可能性が全くないとはいえません。

⑷ 裁判で返金を請求する
 民事裁判で詐欺行為を立証できれば、判決で詐欺師に対して返金が命じられ、支払った代金を回収できる可能性があります。

執筆者:法テラス佐渡法律事務所 スタッフ弁護士 伊東憲二

コラム執筆者紹介

 法テラス佐渡法律事務所の伊東憲二です。
 東京生まれ、東京育ちです。大学卒業後色々な職を転々とした後、弁理士試験に合格し、都内の特許事務所で弁理士業務をしていました。
 司法試験合格後は司法修習を経て、法テラスのスタッフ弁護士になりました。東京都立川市の法律事務所で1年間養成を受けた後、秋田県鹿角市、山口県山口市にある法テラスの法律事務所でそれぞれ2年間勤務し、今年(令和6年)の3月から佐渡市で勤務しています。
 趣味といえるものはありませんが、おいしいお酒と料理が大好きです。