会社(かいしゃ)が「あなたとの契約(けいやく)をやめます。」と言(い)っています。また、会社(かいしゃ)に「家(いえ)にいてください。」と言(い)われて仕事(しごと)を休(やす)んでいたのに、その間(あいだ)の給料(きゅうりょう)をもらえません。|法テラス

困っている人のイラスト

私(わたし)は家(いえ)の近(ちか)くの会社(かいしゃ)で、週(しゅう)に3回(かい)、パートタイム(ぱーとたいむ)で働(はたら)いていました。
1年間(ねんかん)の労働(ろうどう)契約(けいやく)で、これまで1年(ねん)の契約(けいやく)が終(お)わると次(つぎ)の1年(ねん)の新(あたら)しい契約(けいやく)をして、今(いま)までに3回(かい)契約(けいやく)を新(あたら)しくしました。
面接(めんせつ)で、会社(かいしゃ)の人(ひと)は、いつも「あなたは仕事(しごと)がよくできます。これからもこの会社(かいしゃ)で働(はたら)いてください。」と言(い)っていました。

しかし、1年(ねん)の契約(けいやく)が終(お)わる1か月(げつ)前(まえ)に「また連絡(れんらく)するまで、会社(かいしゃ)に来(こ)ないでください。家(いえ)で待(ま)っていてください。」と言(い)われました。
会社(かいしゃ)の言(い)うとおりに家(いえ)で待(ま)っていました。

すると、会社(かいしゃ)から急(きゅう)に「あなたとはもう契約(けいやく)をしません。」と連絡(れんらく)がきました。
そして、「家(いえ)で待(ま)っていた間(あいだ)、あなたは仕事(しごと)をしていませんでした。だから、その間(あいだ)の給料(きゅうりょう)は払(はら)いません。」と言(い)われました。

Q 質問(しつもん)

  1.  私(わたし)の労働(ろうどう)契約(けいやく)は、本当(ほんとう)に新(あたら)しくしてもらえないのでしょうか?
  2.  会社(かいしゃ)が言(い)ったとおりに、私(わたし)は家(いえ)で待(ま)っていました。その間(あいだ)の給料(きゅうりょう)はもらえないのですか?

A 答(こた)え

  1.  給料(きゅうりょう)や働(はたら)く時間(じかん)などはそのままで、契約(けいやく)を更新(こうしん)<=新(あたら)しくすること>してもらえるかもしれません。ただし、あなたが「労働(ろうどう)契約(けいやく)を更新(こうしん)してほしい。」と会社(かいしゃ)に言(い)う必要(ひつよう)があります。
  2.  会社(かいしゃ)があなたに仕事(しごと)をしないで家(いえ)にいるようにと言(い)った理由(りゆう)が、「会社(かいしゃ)の仕事(しごと)がうまくいかずに、給料(きゅうりょう)を払(はら)えるかどうかわからない」いうことだけなら、給料(きゅうりょう)の全部(ぜんぶ)は無理(むり)でも、給料(きゅうりょう)の60パーセント(ぱーせんと)のお金(かね)がもらえると考(かんが)えられます(このお金(かね)を「休業(きゅうぎょう)手当(てあて)」といいます。)。

説明(せつめい)

1. 私(わたし)の労働(ろうどう)契約(けいやく)は、本当(ほんとう)に新(あたら)しくしてもらえないのでしょうか?

労働(ろうどう)契約(けいやく)の期限(きげん)が来(き)たことを理由(りゆう)にして、契約(けいやく)の期間(きかん)が終(お)わったときに、会社(かいしゃ)が契約(けいやく)を更新(こうしん)しないことを「雇止(やといど)め」といいます。「雇止(やといど)め」により、会社(かいしゃ)と働(はたら)く人(ひと)との間(あいだ)の労働(ろうどう)契約(けいやく)が終(お)わります。
「雇止(やといど)め」については、働(はたら)く人(ひと)を守(まも)るために、法律(ほうりつ)の決(き)まりがあります。
下(した)のような場合(ばあい)は、皆(みんな)が納得(なっとく)できるような理由(りゆう)がないと「雇止(やといど)め」ができません(労働(ろうどう)契約法(けいやくほう)19条(じょう))。

  • 働(はたら)く人(ひと)が、それまで何回(なんかい)も契約(けいやく)を更新(こうしん)していて、期限(きげん)の無(な)いの労働(ろうどう)契約(けいやく)と同(おな)じような状態(じょうたい)になっている場合(ばあい)
  • 働(はたら)く人(ひと)が、契約(けいやく)期間(きかん)が終(お)わったあとも、会社(かいしゃ)がまた契約(けいやく)を更新(こうしん)してくれると期待(きたい)する理由(りゆう)がある場合(ばあい)

 

具体的(ぐたいてき)には、下(した)のようなことを考(かんが)えます。裁判所(さいばんしょ)が「雇止(やといど)め」ができるかできないかを最後(さいご)に決(き)めます。

  • 契約(けいやく)を何回(なんかい)更新(こうしん)したか
  • そのときだけでなく、長(なが)く続(つづ)くような仕事(しごと)の内容(ないよう)だったかどうか
  • あわせてどれだけの間(あいだ)、雇(やと)われていたか
  • これまでどのように契約(けいやく)を更新(こうしん)していたか
  • 続(つづ)けて働(はたら)けると思(おも)わせるようなことを、会社(かいしゃ)が働(はたら)く人(ひと)に言(い)っていたか

 

あなたの場合(ばあい)は、契約(けいやく)期間(きかん)が終(お)わって契約(けいやく)を更新(こうしん)するときに、いつも会社(かいしゃ)の人(ひと)が「続(つづ)けて働(はたら)いてほしい。」と言(い)っていました。しかし、それまで契約(けいやく)を更新(こうしん)したのは3回(かい)だけで、多(おお)くはありません。
他(ほか)のことも詳(くわ)しく聞(き)いて、「雇止(やといど)め」に関係(かんけい)する裁判(さいばん)の例(れい)と比(くら)べなければ、あなたを会社(かいしゃ)が「雇止(やといど)め」できるかできないか、答(こた)えることができません。

「雇止(やといど)め」ができないと決(き)まった場合(ばあい)、労働(ろうどう)契約(けいやく)は前(まえ)と同(おな)じ条件(じょうけん)で更新(こうしん)されます。そのためには、働(はたら)く人(ひと)が「労働(ろうどう)契約(けいやく)を更新(こうしん)してほしい。」と会社(かいしゃ)に言(い)う必要(ひつよう)があります。先(さき)に、労働(ろうどう)契約(けいやく)を更新(こうしん)するよう、あなたから会社(かいしゃ)に頼(たの)んで、そのあと、弁護士(べんごし)に相談(そうだん)してください。

 

2. 会社(かいしゃ)が言(い)ったとおりに、私(わたし)は家(いえ)で待(ま)っていました。その間(あいだ)の給料(きゅうりょう)はもらえないのですか?

パートタイム(ぱーとたいむ)やアルバイト(あるばいと)の人(ひと)も、「使用者(しようしゃ)の責(せめ)に帰(き)すべき事由(じゆう)<=会社(かいしゃ)のせいだと言(い)える理由(りゆう)>」で仕事(しごと)を休(やす)んだ場合(ばあい)、給料(きゅうりょう)の60パーセント(ぱーせんと)以上(いじょう)のお金(かね)(休業(きゅうぎょう)手当(てあて))を、会社(かいしゃ)からもらうことができます(労働(ろうどう)基準法(きじゅんほう)26条(じょう))。

会社(かいしゃ)が、しかたのない理由(りゆう)で働(はたら)く人(ひと)を働(はたら)かせることができない場合(ばあい)は、会社(かいしゃ)はお金(かね)を払(はら)わなくてもよいことになっています(労働基準法(ろうどうきじゅんほう)26条(じょう))。この場合(ばあい)、会社(かいしゃ)は働(はたら)く人(ひと)に休業(きゅうぎょう)手当(てあて)を払(はら)う必要(ひつよう)はありません。しかたのない理由(りゆう)、つまり、会社(かいしゃ)の責任(せきにん)でない理由(りゆう)とは、地震(じしん)や津波(つなみ)などがおこった場合(ばあい)などです。

あなたの場合(ばあい)、会社(かいしゃ)からの連絡(れんらく)を家(いえ)で待(ま)っていた理由(りゆう)が、「会社(かいしゃ)の仕事(しごと)がうまくいかずに、給料(きゅうりょう)を払(はら)えるかどうかわからない」ということだけなら、休業(きゅうぎょう)手当(てあて)を払(はら)うよう、会社(かいしゃ)に言(い)うことができます。