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島(根)の弁護士

更新日:2020年2月13日

法テラス島根法律事務所 吉田 智子 弁護士(新62期)

 

 司法過疎地、しかも離島で弁護士をするという貴重な経験をすることができたのは、法テラスのスタッフ弁護士ならではだと思いますので、少しだけご紹介させてください。
 
 私は以前、島根県の隠岐(おき)にある法テラス西郷法律事務所に赴任していました。隠岐郡は、島前(どうぜん)3島の西ノ島町(にしのしまちょう)・海士町(あまちょう)・知夫村(ちぶむら)と、島後(どうご)の隠岐の島町(おきのしまちょう)からなり、本土から40から80キロメートル離れた日本海に浮かぶ4島に、合計約2万人が暮らしています。島後には、空港や、松江地家裁の西郷支部、西郷簡裁、法テラス西郷法律事務所と隠岐ひまわり基金法律事務所のふたつの法律事務所があります。裁判官が海を渡り、3か月に2回、地家裁が開廷します。
 

 隠岐は4島あるため、どの島に住んでいても自分が住む島で法律相談ができるように、隠岐の弁護士は、月に一度は必ずフェリーに乗って、島前まで法律相談に行きます。島民の方が当日突然相談をしたいと思ったときでも対応できるように、前日までに予約が入っていない場合でも海を渡ります。(島根県弁護士会の島前法律相談センター相談担当者として活動)

 

 隠岐に弁護士がいなかったときには、相談のために本土に行くしかなかった方たちが、丸一日(日帰りができない場合は二日)のお休みを取らなくても、乗船料を支払わなくても、地元で法律相談ができるようになったことには、本当に大きな意義があると思います。

 

 外出することが難しい方には、出張法律相談による対応も行います。そして、ご本人が法的問題を抱えているにも関わらず、高齢等の理由から法律相談の申込をされない場合でも、福祉機関等の支援者の方からの申込みによる出張法律相談(特定援助対象者法律相談援助 ※)ができるようになったことで、また少し、司法アクセスが改善したと思います。
 島前に住む支援者の方やご本人が「他の島から弁護士に来てもらうなんて、いったいいくらかかるのか・・・」と心配されることもあるのですが、特定援助では、資力基準を満たせば無料で法律相談ができますし、そうでなかったとしても、相談料5500円を払っていただければ、弁護士のフェリー乗船代等の負担なく法律相談ができますとご説明すると、「ありがたい!」と喜んでいただくことができます。
 

 写真は、私が隠岐に赴任していたときに撮ったものです。
 この4枚の写真は、たくさんある隠岐の美しい景色のほんの一部にすぎませんが、こんな素敵な景色を見ることができたのも、隠岐に赴任したおかげです。

 日本各地の赴任先で、観光ではなく、ただ住むのでもなく、「弁護士として」地元で暮らすことで、人々の悩みに寄り添うことができる。
 そして、他の赴任地で得た経験を活かしながら、次の赴任地でも、地元の方々と共にその地域の抱える課題について考えていくことができる。これも、転勤があるスタッフ弁護士ならでは良さだと感じています。

 
※特定援助対象者法律相談援助(特定援助)は、病気や加齢で認知機能が十分でない高齢者や障害者を対象にした出張法律相談で、対象者を支援する地方公共団体や福祉機関からの申し入れに基づき実施することができる。改正総合法律支援法の施行により、平成30年1月24日から法テラスの新たな業務として運用を開始した。資力がない方に対して無料で行う民事法律扶助相談とは異なり、資力の有無にかかわらず相談を実施するが、対象者に資力がある場合には、相談料は対象者の負担となる。

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