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法テラス被災地出張所と地元弁護士との連携 5

更新日:2018年6月28日

Q4.その頃の避難所で受けた相談はどのような内容のものでしたか。

 財産的な話が多くありました。お金を全部なくした、借金がある、権利証を流された、実印をなくした等です。ただ、避難所での相談を始めた平成23年4月頃一番多かったのは、「とりあえず話を聞いてほしい」といったものでした。眠れない、不安で仕方ない、今後どうしたらいいかわからない、死にたい、なぜ生き残ったかわからない…など、法律相談とは少し違う話も多くありました。そんな時は、お話が終わるまで丁寧にお聴きし、不安がやわらぐようにアドバイスをしていました。避難所での相談を始めて最初の1か月くらいは、こちらから情報を提供するというよりも、被災者の話を聞くことの方が多かったような気がします。

Q5.被災者の相談内容で特徴的なものはありますか。

 震災前から大船渡市では借金の相談が多くありましたが、震災以降、離婚や相続の相談が増えています。相続については、被災でお亡くなりなられたことが原因と思われますが、離婚については、仮設住宅という空間での生活からのストレスが原因なのではないかと考えています。そうすると、家族・夫婦間であっても、顔を見たくないなど、これまでの暮らしや震災へのやり場のない不満が噴き出してきてしまうということがあるのかと思います。

Q6.被災地での家族の問題は、震災が原因となっているのでしょうか?

 直接的な原因というよりは、あくまで震災がきっかけになっているんだと思います。全部が震災のせいではないかもしれませんが、表面化するきっかけになっているのではないでしょうか。今まで積み重なってきたいろいろな感情が、狭い空間に押し込められる、なおかつ自分たちも失ったものがたくさんあるといった状況で、増幅してしまうということがあるのだと思います。

Q7.気仙地域で、法テラスはこれまで弁護士の方々が築いてこられた住民や自治体等との信頼関係と、法テラスで作る関係機関とのネットワークをうまく融合して活動していければと考えています。その点について、お考えはありますか?

 法テラスには大きな周知力があると感じています。これにより、被災者の方々が法律の相談をするということへの敷居が低くなっているように感じます。
 ただ、私の個人的なことですが、私どもの事務所は被災前から法人からの相談というよりも、個人相談者をメインに相談を受けていました。そうすると、法テラスでの相談は個人の方だけということから、どうしても法テラスとニーズがぶつかってしまいます。そこで、将来的には法テラスとうまくすみ分けをし、長期的な視点から被災者の方々の幅広いニーズに応えていければと思っています。
 法テラス気仙のいいところは、弁護士以外の専門家(司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士)が相談を担当することで、弁護士とは異なる分野についても、幅広く専門家の相談ができる、相談の一元化が可能になるということです。そういう意味においても、法テラスの出張所がこの地域にできたことは、地域の方々にとって安心だと思います。また、法テラス気仙は特定の弁護士が相談を担当するのではなく、日替わりで盛岡や沿岸部等岩手県内から弁護士が相談担当として派遣されてきますので、いろいろな弁護士の意見を聞くことができます。

 どこに相談に行けばいいのかわからない方々に、あそこに行けばいいのではと案内できる相談窓口が地域にあってもいいのではないかと思います。
 特に被災地では、ワンストップの相談窓口があることにより、相談者の様々な法的問題を多角的に、そして出来る限り早期に救済できるのではないかと考えています。

大船渡市の様子。大船渡市三陸公民館。3階建で震災時は津波が2階天井部分まで達した。
撮影時期:2013年8月

※震災法律援助業務による無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替については、「東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律(震災特例法)」の失効により、令和3年3月31日新規申込受付を終了しています。

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