法テラス東京

法テラス東京法律事務所だより 2024年8月

四ツ谷のげんばから

「自主退学勧告」 

 ​とある子ども支援のNPOの職員さんからお電話をいただきました

  • 私立中学に通うAさん(中3・男子)とBさん(中2・男子)は、共にテニス部に所属する先輩・後輩で、よく練習前にふざけてプロレスごっこをしていました。Bさんはあまり気が進まなかったのですが、先輩のAさんに嫌だとは言えず、笑顔で「いいですね。負けないですよ。」と応じていました。
  • ある日、Aさんが、Bさんに技をかけると、誤ってBさんの腕を脱臼させてしまいました。これにより、Bさんは夏の大会に出られなくなってしまいました。
  • Aさんは、Bさんに、本当にごめんと謝罪し、Bさんはこれを受け入れました。しかし、PTA会長でもあるBの父親は激怒し、嫌がる息子に無理やりプロレス技をかけ、怪我をさせ、大切な大会に出られなくしたAは退学にすべきだと言って、学校に迫りました。
  • 事態を重くみた学校は、Aさんに自主的に退学することを求めました。

 

 自主退学勧告はあくまで「勧告」であり、それ自体として法的効果を持つものではありません。

 ただ、生徒としての身分の喪失につながる重大な措置であるので、自主退学勧告についての学校の判断が社会通念上不合理であり、裁量権の範囲を超えていると認められる場合には、その勧告は違法となり、損害賠償請求の対象となると考えられます。

 本件では、Aさんが故意にBさんの腕を脱臼させたわけではないこと、AさんはBさんもプロレスごっこをすることについて積極的に同意していたと認識していたことなどについて、正確な事実認定がされていない可能性がありました。そこで、できれば職員さんも同席のうえ、一度Aさんの保護者に弁護士による法律相談を受けていただくことをお勧めしました。

 後日、職員さんから聞いたところによると、AさんとAさんの保護者が、怪我をさせてしまったことについては謝罪しつつ、前提事実について、学校及びBさんとその保護者との間で、話し合いの機会を持った結果、無事、学校による自主退学勧告は撤回されたということでした。

 “こんなとき、どうしたらいいんだろう。”お困りの際は、お気軽にホットラインにご連絡ください。

<このお話は実例を参考にしたフィクションです。>

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