自宅のローンとその他に借入れがあります。勤務先が大きな被害を受けて廃業し、別の会社に再就職しましたが、給料が大幅に下がってしまい、今までどおり返済をしていくことはとてもできません。自宅を手放さずに、返済金額を少なくする方法はないでしょうか。
更新日:2018年6月28日
今回の震災では、借入先の金融機関などが、それぞれ、一定の期間、住宅ローンの支払を一定期間猶予するなど、特別の措置をとっていることが考えられます。まず支払の猶予や返済方法の変更を相談してみてください。
自宅を確保しながら返済金額を少なくするための法的手続としては、
(1)小規模個人再生手続 (2)給与所得者等再生手続
が考えられます。
一定の要件を満たす場合には、個人債務者の私的整理に関するガイドラインに基づき、債務整理の手続を行うことも考えられます。
- 今回の震災では、借入先の金融機関などは、それぞれ、一定の期間住宅ローンの支払を一定期間猶予するなど、特別の措置をとっていることが考えられますので、支払の猶予を受けることや返済方法を変更することを検討してみてください。
- 住宅金融支援機構から借入を行っている場合は、被災の状況によって、1年~3年の支払猶予が受けられる可能性があります。
- 銀行などの金融機関から借りている場合でも、金融機関ごとに対応が異なりますので、借入先の金融機関にご相談ください。
- 借入先との相談だけで返済を少なくすることができない場合には、法的な手続を利用して、返済金額を少なくすることが考えられます。 個人債務者について、住宅を保持しつつ債務を整理することが可能となる法的手続として、住宅資金貸付債権に関する特則を利用して、
- 小規模個人再生手続
- 給与所得者等再生手続
- 小規模個人再生手続や給与所得者等再生手続は、裁判所に申立てを行います。おおまかな流れとしては、
(1)手続開始の申立
(2)再生計画案の提出
(3)再生計画の認可
となりますが、それぞれの手続ごとに、法律で
手続を開始するための要件(収入の状況や債務の額など)、
必要な手続(再生計画案の提出など)や要件(再生計画案の決議など)が定められていますので、その内容にしたがって手続を行う必要があります。 - また、住宅資金貸付債権に関する特則を利用するためにも、必要な手続や要件が法律で定められていますので、その内容にしたがって手続を行わなければなりません。
- 個人債務者の私的整理に関するガイドラインに基づき、一般社団法人個人版私的整理ガイドライン運営委員会に債務整理を申し出て、手続を行うことも考えられます。
同ガイドラインは、東日本大震災の影響により住宅ローンや事業性ローン等、東日本大震災以前に負担していた債務の弁済に困難を来たしている個人の債務者の生活の再建又はその営む事業の再建・継続を目的として策定されているため、まず住居・勤務先等の生活基盤や事業所等の事業基盤などが東日本大震災で影響を受けたことが前提となります。
そのうえで、一定の要件を満たした場合に、ガイドラインを利用して債務整理を行うことを申し出ることが可能とされていますので、要件の確認が必要です。 - 自宅を手放さずに返済金額を少なくするために、どのような方法をとることができるかどの方法をとるのがよいのかは、状況に応じて判断する必要がありますし、また、小規模個人再生手続や給与所得者等再生手続は、法律に定められた内容に従って手続を行う必要があるため、早めに、最寄りの弁護士会などに相談するのがよいでしょう。