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「自分の都合で会社をやめたことにされました。」
私は外国人です。ホテルで通訳の仕事をしています。在留資格は「技術・人文知識・国際業務」です。
このあいだ、会社の上司<=会社などで上の立場の人>に呼ばれました。
そして、「会社の仕事が減ってきたので、働く人を減らすことにしました。1か月後に、仕事をやめてください。」と言われました。会社の人は私に、「これに名前を書いてください。」と言って紙を渡しました。漢字で書いてあったので、内容は分かりませんでした。最初は名前を書くことを断りました。でも、会社の人に「必要なものだ。」と強く言われて、最後には名前を書きました。
あとで、会社の友達に聞くと、私が名前を書いた紙は、「辞職願」<=「仕事をやめたい」と伝えるための書類>でした。私以外に、仕事をやめさせられた人はいませんでした。
また、離職票<=会社を辞めた人が、仕事がなくなったときにもらうお金(失業給付)をもらうときに必要な書類。ハローワークが会社に渡し、会社があなたに渡します。(※)>を見ると、「自己都合退職」<=自分の都合で仕事をやめた>ということになっていました。これはおかしいと思います。
(※)厚生労働省:雇用管理に役立つ多言語用語集(やさしい日本語)から引用。
https://www.mhlw.go.jp/yougosyu/index.html(外部サイト)
Q 質問
- 辞職願に名前を書いたことや、「自己都合退職」とされたことを、なかったことにすることはできますか。
- 私の在留資格はどうなりますか。
A 答え
- 労働審判や、裁判をすることができます。本当は仕事をやめたくないのに、辞職願に名前を書いてしまったということを、認めてもらうためです。
また、離職票の仕事をやめた理由を「自分の都合」とされたことについては、ハローワークや労働局に「これは違う」と言うことができます。 - 今の在留資格「技術・人文知識・国際業務」で働くことができる仕事が見つかれば、在留資格を変える必要はありません。それができない場合、
他 の在留資格に変える必要があります。どちらにしても、働く会社が変わった場合は、14日以内に入管に知らせる必要があります。
説明
1.辞職願に名前を書いたことや、「自己都合退職」とされたことを、なかったことにすることはできますか。
労働審判とは、働く人と会社の間の問題を、早く解決するためのものです。これは、地方裁判所でします。裁判より、早くて簡単です。普通は3回以内に終わります。まず、調停<=話し合うことで争いを終わらせるための手続>をします。1人の「労働審判官」(裁判官が担当します)と、2人の「労働審判員」が出席します。「労働審判員」は、労働問題について専門の知識を持った人です。調停で解決しないときは、審判<=裁判官が争いを解決するために決定を出すこと>をします。
審判の内容が気に入らないと思った場合は、審判の結果が来てから2週間以内に、裁判所にそのことを伝えてください。そうすると、審判の結果はなかったことになります。そして、労働審判ではなく裁判が始まります。
あなたの場合、書類が漢字だったので、内容がわかりませんでした。会社の人も、この書類が辞職願だということをあなたに説明しませんでした。この理由で、辞職願は間違いであると、言うことができます。あなたが内容をわかった上で辞職願に名前を書いたのではないからです。
離職票には、仕事をやめた理由が書かれます。「会社都合退職」<=会社の都合で仕事をやめた>と、「自己都合退職」<=自分の都合で仕事をやめた>のどちらかです。この理由は、失業手当<=雇用保険に入っていた人が、仕事を失った時にもらえるお金>と関係します。具体的には、下のような違いがあります。
雇用保険に入っていた期間 | いつから失業手当をもらえるか | |
---|---|---|
会社都合退職 | 6か月以上が必要 | 「 |
自己都合退職 | 12か月以上が必要 | 「 |
(※)
あなたの場合、仕事をやめた理由を「自己都合」とされたことについて、間違っているとハローワークに伝えることができます。ハローワークで、失業手当の手続をするときに、そのことを伝えてください。それでも「自己都合」と決められた場合は、「審査請求<=さらに詳しく調べて決めるよう、求めること>」ができます。「審査請求」は労働局に提出します。しかし、「審査請求」には、2か月以上かかる場合が多いようです。その場合、「審査請求」をしている間に、失業手当が始まります。
内容がわからない書類には、名前を書かないでください。名前を書く前に、弁護士など、専門の人に相談するとよいです。
2.私の在留資格はどうなりますか。
あなたは、通訳の仕事をしていて、在留資格は「技術・人文知識・国際業務」です。
この在留資格を持っている人は、転職<=働く会社を変えること>が可能です。別の会社の通訳や、語学教室の先生などの、今と同じような仕事につくことができます。次の仕事が見つかった場合、在留資格を変える必要はありません。ただし、働く会社が変わったことを、入管に知らせる必要があります。
会社の都合で仕事をやめて、次の仕事が見つからなかった場合、仕事を探すための「特定活動」(6か月)などの在留資格に変えることができます。自己都合退職の場合は、在留期限の日、または会社をやめてから3か月後の、どちらか早い日までしか、日本にいることができません。それまでに、新しい仕事を見つけるか、自分の国に帰るかの、どちらかになります。ただし、自己都合退職ということが間違っていると認められた場合は、6か月間の「特定活動」の在留資格がとれることもあります。1の問題と一緒に、弁護士に相談するとよいです。