やさしい日本語

法テラスの国選弁護等関連業務

警察につかまると、検察官という人が「つかまえた人を罰してください。」と裁判所に求めることがあります(「起訴」といいます)。
起訴されると、つかまった人を罰するかどうかを決める手続が始まります(「裁判」といいます)。
警察につかまったときや裁判のときに、弁護士<=法律をよく知っている人。つかまった人の法律的な支援をします。>に頼むお金がない人には、裁判所(国)が代わりに弁護士をつけることができます。これを国選弁護人といいます。
また、少年(20歳になっていない人)にも、裁判所(国)が代わりに弁護士をつけることができます。これを国選付添人といいます。

国選弁護制度の図


国選弁護人や国選付添人をつけたいときは、警察や裁判所に伝えます。
国選弁護人・国選付添人に関係する仕事として、法テラスは次のことをします。

国選弁護人・国選付添人になりたい弁護士を集めます

  • 関係するところ(裁判所・弁護士会)と話し合います。
  • 弁護士と契約<=仕事をする約束をすること>します。
  • 契約した弁護士の名前を書いた表(「名簿」といいます。)を作ります。

弁護士の情報を裁判所に知らせます

  1. 裁判所から、弁護士を頼みたいという連絡をもらいます。
  2. 法テラスが、名簿に書いてある弁護士に、仕事ができるかを聞きます。
  3. 弁護士が法テラスに「できます」と返事をします。
  4. 弁護士の情報を、法テラスから裁判所に知らせます。
  5. 裁判所が、弁護士を国選弁護人(国選付添人)に選びます。

お金を計算して払います

  1. 弁護士が担当した事件が終わります。
  2. 弁護士が仕事の内容を書いて、法テラスに出します。
  3. 法テラスが決まりに従って、その仕事にいくら払うかを計算します。
  4. 弁護士にお金を払います。

国選弁護制度とは

警察などに犯罪をしたと疑われている人を「被疑者」といいます。「被疑者」が起訴されて裁判が始まると、「被告人」といいます。
犯罪を行った人に(ばつ)を与えるための手続を、刑事事件といいます。刑事事件に関係する人に、被疑者・被告人と検察官がいます。
検察官は法律を専門にする人で、国から大きな力を与えられて仕事をします。
しかし、被疑者・被告人は、法律を専門にする人ではありません。何かの力が与えられているわけでもありません。だから、検察官とくらべて、被疑者・被告人は弱い立場にいます。
さらに、被疑者・被告人の中でも、警察や拘置所というところに入れられて、自由に行動できない人たちは、もっと弱いです。

日本国憲法と弁護士のイラスト


被疑者・被告人が、検察官の言うことを理解して、自分が言いたいことをしっかり伝えるためには、法律を専門にする人が、被疑者・被告人を助ける必要があります。

日本の憲法<=国の最高の決まり>には、「刑事被告人(けいじひこくにん)は、どんなときにも資格を持った弁護人を頼むことができます。被告人が自分で頼むことができないときには、国が弁護人をつけてくれます。」ということが書いてあります(日本国憲法第37条第3項)。このように日本の憲法で決まっていることを行うのが、国選弁護という制度です。

このことは、被告人だけでなく、被疑者についても同じです。犯罪に関わったことを疑われてつかまっている被疑者も、国選弁護制度を使うことができます。
事件の始めから終わりまで、しっかりと弁護できるようにしておくことは、被疑者・被告人の権利を正しく守るために大切なことです。

国選弁護業務の日常

被疑者がつかまってから、いつまでに起訴の手続をする必要があるかは、刑事訴訟法という法律できびしく決られています。
この手続は、一年じゅう、休みなく進められます。だから、土曜日・日曜日・祝日などでも、休みなく弁護士を探して、裁判所に伝える必要があります。
法テラスでは、土曜日・日曜日・祝日などでも働くことができる弁護士と仕事の約束をしています。
法テラスも、一年じゅう休みなく、国選弁護人に関係する仕事をしています。