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「自転車に乗った人が急に私の車の前に出てきました。私の車にぶつかったため、自転車に乗った人はケガをしました。」
私は、仕事から帰る時に車を運転していました。
家までの道の途中で、自転車に乗った人が急に私の車の前に出てきました。
私の車にぶつかったため、自転車に乗った人はケガをしました。
Q 質問
- すぐに警察を呼びましたが、私は罰をうけるのでしょうか。
- ケガをした人に対して、しなければならないことは何ですか?
ケガをした人がまわりをよく見ないで自転車を運転していたことも、事故の原因です。
私の車も壊れてしまいました。私の車が壊れたことについて、相手に何か言えますか?
A 答え
1. 自転車とぶつかる前に、あなたが、自転車が歩道<=人が歩くように決められた道>にいることを分かっていた場合に、「自転車が急に車道<=車などが走るように決められた道>に出てくるかもしれない」と考えて、ぶつからないようにすることができたかもしれません。
このように、あなたが注意していればぶつからなかったといえる場合、「過失運転致傷罪」<=自動車を運転する時に、必ず気をつけることに注意しないで運転をして、人にケガをさせてしまった場合になる罪>という罪になるかもしれません。
また、もし、事故のあとに、あなたが、ぶつかった場所から逃げてしまった場合は、「道路交通法違反」<=道路や交通の安全のために決められた法律(道路交通法)を守らないこと>という罪になるかもしれません。
2. ケガをした人が受けた損害<=事故などで受けた被害のこと。たとえば、自転車が壊れたり、病院で治療費がかかったり、働けなくなったり、つらい思いをすること>のお金を払わなければなりません。
自転車に乗っていた人がまわりをよく見ないで急に車道に出た場合など、相手に事故の原因があり、あなたにも損害がある場合は、相手も、あなたにお金を払わなければいけません。
事故の原因が両方にある場合には、あなたと相手の両方が、原因の大きさによって、損害のお金を払わなければなりません。
説明
1.刑事責任について
刑事責任とは、刑罰<=罪を犯したと判断される人に与える罰>を受けなければいけないことをいいます。
車を運転している時に交通事故を起こし、被害者にケガをさせた場合、不注意(過失)<=注意していれば気づけたことを、注意をしていなかったために気づけなかったこと>があると、過失運転致傷罪になるかもしれません。過失運転致傷罪になると、7年以下の懲役<=刑務所に入れて、自由を奪い、刑務所の中で仕事をさせる罰>または禁錮<=刑務所に入れて、自由を奪う罰>または100万円以下の罰金<=決まった金額のお金を払わせる罰>になるかもしれません。
自転車が急に車道に出てきた場合など、気をつけていても事故が起こってしまった場合には、車を運転している人には過失はありません。そのため、過失運転致傷罪にはなりません。
交通事故を起こした場合は、次のような義務<=しなければならないこと>があります。
【1】すぐに運転をやめる
【2】ケガをした人を助ける
【3】道路で次の事故が起きないようにする
【4】警察へ知らせる
これらのことをしないで、事故を起こした場所から離れた場合、「救護義務違反」(ケガをした人を助けないで逃げること)または「危険防止措置義務違反」(道路で次の事故が起きないようにしなければならないのに、なにもしないこと)の罪になることがあります(5年以下の懲役又は50万円以下の罰金または10年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。
2.民事責任について
民事責任とは、約束(契約)をやぶったり、間違ったことをして誰かに損害を与えた場合に、損害分のお金を相手に払わなければいけないことをいいます。
ケガをさせた人を加害者といいます。加害者のせいでケガをした人を被害者といいます。加害者は、ケガをした被害者が受けた損害のお金を払う責任があります。
それでも、被害者が急に車道に出てきたり、被害者にも不注意(過失)がある場合は、加害者だけがお金を払わなければならないとすると不公平です。被害者にも過失があり、加害者に事故による損害がある場合は、加害者と被害者の両方が、相手の損害についてお金を支払わなければなりません。事故を起こした原因の大きさによって、それぞれが払うお金を計算します。お金を払う分と、もらう分の差で実際に払う金額を決めます(「過失相殺」といいます)。