「夫（おっと）と別（わか）れたいです。でも、日本（にほん）にのこりたいです。」

外国人(がいこくじん)の離婚(りこん)では、次(つぎ)のことが問題(もんだい)になります。

I. どこの国(くに)の法律(ほうりつ)を使(つか)うか

II. どこの国(くに)の裁判所(さいばんしょ)で手続(てつづき)をするか

I. どこの国(くに)の法律(ほうりつ)を使(つか)うか
あなたは外国人(がいこくじん)ですが、夫(おっと)は日本(にほん)で生活(せいかつ)する日本人(にほんじん)です。
この場合(ばあい)は日本(にほん)の法律(ほうりつ)に従(したが)って離婚(りこん)の手続(てつづき)をします（法(ほう)の適用(てきよう)に関(かん)する通則法(つうそくほう)27条(じょう)但書(ただしがき)）。

II. どこの国(くに)の裁判所(さいばんしょ)で手続(てつづき)をするか
あなたの場合(ばあい)、夫婦(ふうふ)の両方(りょうほう)が日本(にほん)で生活(せいかつ)しています。
この場合(ばあい)は、日本(にほん)の裁判所(さいばんしょ)が離婚(りこん)の手続(てつづき)を担当(たんとう)します（家事事件(かじじけん)手続法(てつづきほう)3条(じょう)の13第(だい)1項(こう)2号(ごう)）。

日本(にほん)では、離婚(りこん)をする方法(ほうほう)がいくつかあります。よく使(つか)う離婚(りこん)の方法(ほうほう)は次(つぎ)の3つ(みっつ)です。

• どのようなときに使(つか)うか

夫婦(ふうふ)の両方(りょうほう)が離婚(りこん)したいと考(かんが)えているとき

• やること

役所(やくしょ)に離婚(りこん)届(とどけ)を出(だ)します。裁判所(さいばんしょ)＜＝裁判(さいばん)をするところ＞の手続(てつづき)はいりません。

18歳(さい)にならない子(こ)どもがいる場合(ばあい)は、夫(おっと)か妻(つま)のどちらが親権(しんけん)＜＝子(こ)どもを育(そだ)てて、教育(きょういく)を受(う)けさせ、財産(ざいさん)を管理(かんり)するために、親(おや)が持(も)つ権利(けんり)と義務(ぎむ)＞を持(も)つのか、決(き)める必要(ひつよう)があります。

• どのようなときに使(つか)うか

夫婦(ふうふ)のどちらかが離婚(りこん)に反対(はんたい)しているとき

• やること

家庭(かてい)裁判所(さいばんしょ)へ行(い)って調停(ちょうてい)をします。

離婚(りこん)した後(あと)の親権(しんけん)や財産(ざいさん)について、夫婦(ふうふ)の意見(いけん)が合(あ)わない場合(ばあい)も、家庭(かてい)裁判所(さいばんしょ)へ行(い)って調停(ちょうてい)をします。

「裁判(さいばん)離婚(りこん)」＜＝離婚(りこん)を求(もと)める裁判(さいばん)＞の前(まえ)に、調停(ちょうてい)をする必要(ひつよう)があります。

最初(さいしょ)は家庭(かてい)裁判所(さいばんしょ)の調停(ちょうてい)で、夫婦(ふうふ)の意見(いけん)が同(おな)じになるように話(はな)し合(あ)ってください。

離婚(りこん)が決(き)まった日(ひ)から10日(とおか)以内(いない)に、「調停調書(ちょうていちょうしょ)の謄本(とうほん)」という書類(しょるい)を役所(やくしょ)に出(だ)します。

• どのようなときに使(つか)うか

調停(ちょうてい)で、夫婦(ふうふ)のどちらかが最後(さいご)まで離婚(りこん)に反対(はんたい)したとき

• やること

家庭(かてい)裁判所(さいばんしょ)へ行(い)って裁判(さいばん)をします。

家庭(かてい)裁判所(さいばんしょ)で調停(ちょうてい)がうまくいかなかったときに、家庭(かてい)裁判所(さいばんしょ)に離婚(りこん)できるかどうかを決(き)めてもらいます。

日本(にほん)の法律(ほうりつ)では、上(うえ)のように決(き)まっています。
しかし、日本(にほん)で決(き)まった離婚(りこん)が、必(かなら)ずあなたの国(くに)でも認(みと)められるわけではありません。
認(みと)められるかどうかは、あなたの国(くに)の法律(ほうりつ)で決(き)まります。
協議(きょうぎ)離婚(りこん)という決(き)まりがない国(くに)では、日本(にほん)の協議(きょうぎ)離婚(りこん)を認(みと)めないところもあります。
どんな手続(てつづき)で離婚(りこん)するのかについては、はじめによく考(かんが)える必要(ひつよう)があります。

あなたの在留(ざいりゅう)資格(しかく)は「日本人(にほんじん)の配偶者等(はいぐうしゃとう)」です。この在留(ざいりゅう)資格(しかく)は、あなたが日本人(にほんじん)の妻(つま)だから持(も)てる資格(しかく)です。
離婚(りこん)した後(あと)も日本(にほん)で生活(せいかつ)を続(つづ)けるためには、在留(ざいりゅう)資格(しかく)を変(か)える必要(ひつよう)があります。
あなたの場合(ばあい)、「定住者(ていじゅうしゃ)」という在留(ざいりゅう)資格(しかく)に変(か)えることが考(かんが)えられます。次(つぎ)の2つ(ふたつ)が考(かんが)えられます。

• 「離婚(りこん)定住(ていじゅう)」：日本人(にほんじん)や永住者(えいじゅうしゃ)の夫(おっと)や妻(つま)と離婚(りこん)した後(あと)に、続(つづ)けて日本(にほん)にのこりたいとき
• 「日本人(にほんじん)実子扶養(じっしふよう)定住(ていじゅう)」：あなたが日本人(にほんじん)の子(こ)どもを育(そだ)てているとき

これらが認(みとめ)められるかは、次(つぎ)のようなところを見(み)て決(き)めます。

1. 日本(にほん)でおおよそ3年(ねん)以上(いじょう)、夫婦(ふうふ)として生活(せいかつ)していたと認(みと)められる人(ひと)
2. 生活(せいかつ)するために十分(じゅうぶん)なお金(かね)や、仕事(しごと)ができる力(ちから)があること
3. 普通(ふつう)の生活(せいかつ)に困(こま)らないくらいの日本語(にほんご)を読(よ)み、書(か)き、話(はな)すことができる人(ひと)
4. 税金(ぜいきん)、年金(ねんきん)、健康(けんこう)保険(ほけん)料(りょう)などを正(ただ)しく払(はら)っている人(ひと)

1. 生活(せいかつ)するために十分(じゅうぶん)なお金(かね)や、仕事(しごと)ができる力(ちから)があること
2. 日本人(にほんじん)との間(あいだ)に生(う)まれた子(こ)を育(そだ)てている人(ひと)で、下(した)のすべてに当(あ)てはまる人(ひと)
   1. 子(こ)が未成年(みせいねん)で、未婚(みこん)であること
   2. 子(こ)が日本人(にほんじん)で、その親権(しんけん)を持(も)っている人(ひと)
   3. その子(こ)を本当(ほんとう)に育(そだ)ててきたと認(みと)められる人(ひと)
   4. その子(こ)と親子(おやこ)関係(かんけい)があること