マンションの売買契約を結び、手付金を支払いました。その後、震災が発生し、体調を崩してしまい、ローンを支払っていく自信がなくなったため、売買契約を解除したいと考えていますが、解除はできますか。その際、手付金を返してもらうことはできますか。
更新日:2018年6月28日
一般的には、手付金を放棄して解除することができます。
別段の合意がなければ、手付金を返還してもらうのは困難です。
- 手付とは、売買契約成立の際に買主から売主に渡される金銭で、(1)解約手付、(2)損害賠償額の予定としての手付、(3)契約成立の証拠としての手付、(4)違約罰(本来の損害賠償額とは別に支払う金銭)としての手付がありますが、当事者間で特に取り決めがなければ、解約手付であるものと推定されます。
- 解約手付とは、売買契約当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主は、その手付けを放棄し、売主はその倍額を支払って契約を解除することができるとするものです。
- 例えば、1億円の不動産の売買契約の場合、買主が売主に手付1000万円を交付すると、買主はその手付を放棄すれば契約を解除できます。売主は買主に2000万円を支払うと、契約を解除できます。ただし、当事者の一方が履行に着手した場合(買主が代金1億円全額をすぐ支払えるよう準備して売主に通知した場合など)には、手付による解除はできなくなります。
- なお、不動産の売買契約で売主が宅建業者の場合は、手付は売買代金の2割を超えることはできないとされています(宅建業法39条)。 一般的には売買代金の1割程度のことが多いようです。