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法テラス東京法律事務所だより 2025年11月
上野のげんばから
「自宅の立退きを求められているのですが…」
区の職員さんからお電話をいただきました。
- A さん70代男性。長年、アパートで単身生活をしています。
- ある日、A さんは、大家さんから、「アパートを建て替えることにしたから、自宅を立ち退いて欲しい。6か月の間に転居先を探してほしい。」と言われました。
- A さんが住むアパートは、かなり古いものの、老朽化しているとまでは言えません。
- A さんは「年齢的に転居先を見つけるのは難しいし、転居先が見つかっても転居費用が 支払えない。」ととても不安そうです。
- 職員さんは、どう対応するか悩み、法テラスのホットラインを利用しました。
建物の賃貸人が賃借人に対して賃貸借契約の解除を申し入れるときは、「正当事由」が必要であるとされています。「正当事由」の有無は、一般的に、(1)建物の使用を必要とする事情、(2)建物の賃貸借に関する従前の経緯、(3)建物の利用状況及び建物の現況、(4)立退料の提示といった要素を総合考慮して判断することになります。Aさんのケースでは、正当事由を欠き解除は認められない可能性があると思われました。そこで、Aさんご自身に法律相談を受けてもらい、今後の対応について弁護士に相談するようアドバイスしました。
後日、Aさんは法律相談を受け、弁護士に大家さんとの交渉を依頼しました。そして、弁護士が大家さんと交渉したところ、大家さんから、大家さんがAさんの要望に合う転居先を見つけて確保した上、転居にかかる費用相当額の立退料の支払いをするとの提案がありました。Aさんは、この内容であれば転居に応じてもよいと考え、大家さんとの間で合意をすることとなりました。
Aさんと大家さんとの間で賃貸借契約解除の合意が既に成立してしまっていたら、このような解決は難しかったと思われます。現場で迷われたときは、ぜひすぐにご相談ください。
<このお話は実例を参考にしたフィクションです。>
法テラス東京法律事務所だより 11月号 [PDFファイル/427KB]
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