原発事故による不動産の損害について、東京電力が行う建物修復費用の先行払いは登記情報に基づいて金額を出しています。しかしながら、増築分を登記していないため、実際の建物の面積は、税金の課税台帳に記載されたものです。課税台帳の面積分の先行払いを求めることができますか。
更新日:2018年6月28日
建物修復費用の先行払いは、「不動産登記情報」のみで判断されていますので、課税台帳の面積分での先行払いを求めることはできません。ただし、本払いでは詳細は未定ですが、他の資料も参考に判断することが考えられます。先行払いを受ける際には、先行払いを受けた面積が本払いでも確定したものとならないよう、東京電力との間で確認しておくことが必要です。
東京電力は、建物の修復費用の先行払いについて、「不動産登記情報の床面積(m2)に単価(1m2あたり14,000円)を乗じた金額をお支払いさせていただきます」としています(平成24年7月24日付プレスリリース)。したがって、課税台帳を反映させた面積の先行払いは受け付けられません。一方、この先行払いは、「建物に対する賠償金の一部を先行してお支払いするものですので、今後お支払いする財物に係る賠償額から精算させていただきます」とされ、今後の本賠償では、登記以外の個別判断をおこない、賠償額を確定させることが考えられます。その際には、東京電力に対し、登記情報ではなく、課税台帳に基づく面積での本賠償を受けられるよう、交渉をすることが必要になります。また、いったん先行払いでの「底面積」を判断した以上、登記情報の底面積に基づいた本賠償の支払いしか受けられないといった事態を避けるため、先行払いを受ける時点で、東京電力に対して、課税台帳が登記と異なることを伝え、この点を明確にしておくことが必要とも考えられます。このように、先行払いを受ける際にも注意しなければならないことがありますので、詳細は弁護士や司法書士などの専門家にご相談なさることをお勧めします。