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精神障害者の退院支援

更新日:2020年2月13日

法テラス阪神法律事務所 藤田 洋介 弁護士(新61期)

藤田弁護士

精神科病院には、自らの意思によらずに入院されている方が多くいます。
自傷他害のおそれがあるという理由で知事等の決定によって行われる措置入院や、精神保健指定医が入院の必要性を認める場合に本人の家族等の同意によって行われる医療保護入院などがそれにあたります。
恥ずかしながら私がそれを知ったのはスタッフ弁護士になってからでした。

法テラスに届いた入院されている方からの1通の手紙、出張相談に行くと鍵のかかった病棟に通され、さらにその病棟の中でも保護室と呼ばれる部屋に通され、手紙の差出人と面会をしました。
彼は私に、この部屋から出して欲しい、そして退院したいと訴えました。
弁護士は代理人として退院請求をすることができ、精神科医や法律家等で構成される精神医療審査会で入院の継続が必要か否かが判断されます。
私は彼の代理人となり、退院請求をしました。
 
結果としては退院請求は認められませんでした。
しかし、退院請求をきっかけに病院側が退院に向けた動きを加速させたように感じるケースはあり、彼も退院請求から程なくして退院できたと聞きました。
彼のように自らの意思によらずに入院を余儀なくされ、退院を求めている人は多くいます。
弁護士が代理人となることで、主治医や担当のソーシャルワーカーから情報収集し、法律に基づいて入院継続の根拠がないことを主張できたり、退院に向けて環境調整をすることも可能となります。
また、入院の必要性がないにもかかわらず、地域生活への不安、帰住先等の問題から自ら退院請求の声を上げられない方も多くいます。
その中には、退院後にご本人の金銭管理を行う人がおらず成年後見制度の利用が必要となったり、障害を理由に家族や家主から退去を求められているなど、法律問題が障壁になっていることもあります。
そういった人に対しては、病院のソーシャルワーカーや福祉関係機関の方と連携して、退院、地域移行の支援を行います。
 
日本は国際的に見ても、精神病床数、平均在院日数も非常に多いことが指摘されており、自らの意思によらない入院患者数は13万人以上にのぼります(H26厚労省調べ)。
これからも弁護士会の先生方や福祉関係者の方と協力しながら地道な活動を続けていきたいと思います。
 
いつか精神障害のある方も、皆が安心して地域生活ができる社会の実現を目指して。

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