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48号 スポーツと法律

更新日:2019年3月10日

スポーツと法律

 2020年はオリンピックイヤー。どんな感動的な場面に出逢えるか楽しみですね。スポーツに関する法律やルールも、誰もが安心して楽しめるようにと工夫されています。いくつかピックアップしてみました。

スポーツをテーマにしたイラスト

東京オリンピックのチケット。転売サイトで買ってもいいですか。

 転売サイトで買うのはやめましょう。

 2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会のチケットは、転売が禁止されています。オークションサイト等に出品されたチケットもすべて無効で、買っても観戦できません。払い戻しもできません。

 チケットが買い占められ、転売されると、価格が高騰して、高いお金を払える人しか観戦できなくなります。そこで、2019年6月14日「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(略称 チケット不正転売禁止法)が施行されました。スポーツイベントやコンサートなどのチケットを不正に転売する行為や、不正転売を目的としてチケットを譲り受ける行為を禁止する法律です。(1)不正転売の禁止が明記され、(2)日時、場所、座席等が指定され、(3)購入者の氏名及び連絡先等を確認した上で販売されるチケットが対象です。不正転売とは、繰り返し定価を超える価格で転売することです。

 これまでも買い占めたチケットを会場周辺で高額に転売する「ダフ屋」は、自治体の条例で禁止されてきました。新しくできた「チケット不正転売禁止法」では、規制が難しかったネットの不正転売も禁じられました。違反した場合には1年以下の懲役か100万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、不正転売だけでなくオークションサイトなどでの転売も禁止、出品されたチケットはすべて無効です。

 キャンセルされたチケットは、2020年春の「東京2020公式チケットリセールサービス」で、定価で、再販売されます。これならせっかく買ったのに観られないという心配もありません。これからチケットを買うときは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に限らず、正規のルートで購入しましょう。

スタジアムで観戦中。ボールが当たってケガ。賠償請求できますか。

 観戦中に飛んできたボールが当たってケガをしたら、治療費などを球団やスタジアムの管理者に請求できる場合があります。

 2005年日本プロフェッショナル野球組織が「試合観戦契約約款」で「主催者及び球場管理者は、観客が被った以下の損害の賠償について責任を負わないものとする。但し、主催者若しくは主催者の職員等又は球場管理者の責めに帰すべき事由による場合はこの限りでない。」と定めました。「観客が被った以下の損害」の一つに「ホームラン・ボール、ファール・ボール、その他試合、ファンサービス行為又は練習行為に起因する損害」をあげています。「責めに帰すべき事由」とは、例えば防護ネットを張るべき場所に張っていない、管理が不十分で破れているなど、観客の安全に配慮していない場合や安全設備に欠陥がある場合などが考えられます。さらに、過去の裁判では、安全設備等に欠陥があったとは認められないものの、球団運営者に、野球や野球観戦に不慣れな者に対して危険性の低い座席のみ選択できるようにするか、危険性の高い席と低い席があることを知らせる義務があったとして、責任を認めたケースもあります。

 もしケガをしてしまって、相手とどのように話したらよいかわからない時は、まず弁護士などの法律の専門家、あるいは法テラスに相談してください。

スポーツをテーマにしたイラスト

スポーツ大会のボランティア。事故にあわないか心配。

 スポーツ大会に「ボランティアとして参加する」という方、多くいらっしゃいます。現場の雰囲気や盛り上がりが身近に感じられ、人気のある大会ではボランティアが抽選になることも。でも、せっかくのボランティア、トラブルや事故は心配ですよね。大会などのイベントでは、主催者側でボランティアも含めて保険に入ったりしますが、そうでないものもあります。ボランティアの申込書や依頼書、大会や事務局のホームページで公開している場合もあるので、チェックしてみてください。

 補償の対象は加入する契約内容で異なります。誤って他人をケガさせたり他人の物を壊したりといった加害行為や自分自身の事故やケガだけでなく、食中毒や熱中症まで補償してくれる場合もあります。主催者側が加入する主なボランティア保険としては、社会福祉協議会の「ボランティア(活動)保険」や公益財団法人スポーツ安全協会の「スポーツ安全保険」などがあります。ボランティアの申し込みをする前にどのような保険でどのような補償が受けられるのか確認しておけば安心です。

チャレンジしたい。観に行きたい。障がいがあってもスポーツを楽しみたい時、どうすればいい?

 スポーツを通じ、すべての人々が幸福で豊かな生活を営む社会を目指そうと、2011年に「スポーツ基本法」が、2015年には「スポーツ庁」ができました。さらに、文部科学省の「障害者のスポーツ活動推進プラン」は、障がいのある方がスポーツを「する」こと、と「観る」ことの両面から、環境整備を進めています。障がい者スポーツ用具を、地域のスポーツ施設や障がい者福祉施設に設置したり、学校でも生徒だけでなく一般の方も使えるようにして、障がいのある方が自分に合った種目を見つけチャレンジできる「普及拠点」にしようとする試みです。新国立競技場では、前方の席の人が立っても視界が遮られない車いす席を約500席設置。聴覚障がいのある方でも観戦を楽しめる補聴設備つきエリアがあちこちにあり、さまざまな場所から観戦できるようになっています。「センサリールーム」というガラス張りの部屋が設置され、発達障がいなどで感覚の過敏な子どもたちでも安心して観戦できる別のスタジアムの初試合は、報道でも取り上げられました。

 環境の整備は進む中でも、会場に向かうまでの道のりなどで、人ごみの狭い道を車いすでいかなければならなかったり、エレベーターの位置が分からず迷っていたりと、さまざまなサポートを必要とされる方に接する機会もあるかと思います。そんな時は、私たち一人ひとりが協力し合い、みんなでスポーツを楽しむことができたらいいですね。

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