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45号 食べ物と法律

更新日:2020年10月20日

 このページの内容は広報誌「ほうてらす第45号」(平成31年3月発行)の内容を、令和2年10月に一部修正し、更新したものです。

食べ物と法律

 私たちの毎日の生活に欠かせない食べ物。
 体のためはもちろんですが、おいしいものを食べると自然と会話が弾み幸せな気持ちになりますよね。
 私たちが口にするまでの間には、食材を生産する人や製造する人、調理する人など多くの人が関わり、さまざまなルートを経てたどり着きます。
 その安全を守るため、そこには多種多様なルールや仕組みが存在します。
 身近な食べ物に関する法律について、ちょっとのぞいてみませんか?

食べ物をテーマにしたイラスト

ネットで見たレシピを、ブログに転載してみんなに紹介したい! これって違法ですか?

 今やインターネット上では多くの情報があふれています。おいしい料理のレシピを自分のブログなどで紹介する人もいます。人のレシピを自分のブログで紹介することは、法律に触れるのでしょうか?
 考えられるのは「著作権」。著作権法で守られる著作物とは、思想や感情の創作的な表現で、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するものです。料理のレシピは、アイデアにとどまる段階では著作権の対象にはなりません。
 しかし、アイデアが「文章」「図」「写真」などの表現物になると著作物として著作権の対象になるので、レシピが掲載された書籍やブログの記事などにある料理の写真やイラスト、説明の文章などを勝手に転載するのは著作権侵害になる可能性があります。
 他人が考案したレシピを紹介する場合は、文章表現や写真、イラストなどは自分で創作したものを用い、レシピの考案者を記載するなどして、トラブルを防止することをお勧めします。

海外旅行でお土産に買った果物が、税関で没収されてしまいました。なぜ???

 海外から日本に野菜や果物を持ち込む場合、国や地域、種類によっては持ち込みができないものがあります。というのも、日本に生息する動植物に影響を及ぼさないようにするため、病原菌や害虫の付着がないかどうかのチェックを受ける必要があるのです。果物、切り花、野菜、米など、さらには根に付いている土までも対象となります。
 また、肉製品や動物由来製品のほとんどは、日本へ持ち込むことができません。諸外国ではBSE(牛海綿状脳症)や口蹄疫、鳥インフルエンザなど家畜の病気が発生しており、お土産や個人消費用のものは検査証明書の取得が難しいためです。ハム、ジャーキー、ソーセージ、ベーコン、肉まんといった加工品もこれに該当します。真空パックに入っている市販の肉製品も持ち込みはできません。
 日本からお土産として外国に食べ物を持っていく時も同様です。現地に持ち込めず空港で没収されることがあるので、事前に対象の大使館のホームページや、旅行ガイドブックなどで確認しておくと安心です。

食品を作って販売したい。どんな資格や手続きが必要ですか?

 「お菓子づくりが得意なので、手作りクッキーを売りたい!お菓子屋さんを開業するのは大変だけど、インターネットなら手軽ですぐにできそう」この場合、どのような手続きが必要なのでしょうか?
 まずは「食品衛生責任者」の資格。食品衛生に関する知識や必要な設備がない状況で、食品を作り販売することは、食中毒や異物混入などの事故につながるおそれがあるため、有資格者1名が必要です。
 次に、インターネットを利用して注文を受け、作った食品を発送するには、食品を作る場所とその保管場所に、保健所の営業許可が必要になることがあります。このほか、営業許可を受けるまでは保健所による施設の確認が必要となるなど様々な手続きがあるので、まずは近くの保健所に相談しましょう。
 お菓子に関する資格には、お菓子のプロの国家資格である「製菓衛生師」や「菓子製造技能士」といったものもあります。これらの資格はなくても開業はできますが、技術の証明にもなるものもあるので、興味のある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

飲食店で食事をしたら、体調不良に・・・これって、食中毒かも。

 食中毒とは、有毒や有害な微生物や化学物質などを摂取することにより起こり、原因は細菌、ウイルス、化学物質、自然毒や寄生虫などがあり、ノロウイルス、サルモネラ、カンピロバクターなどが良く知られています。
 食中毒の症状が出たらまずは、最寄りの医療機関で診察を受けること。食中毒の疑いがある場合、医師は食品衛生法58条により保健所に届け出なければなりません。保健所はその届け出に基づき、お店の調査や患者から聞き取りを行い、原因を特定します。
 そのお店の料理が原因だと証明できれば、治療費や休業損害、慰謝料などが請求できる場合があります。食中毒は時間が経ってから発症することもあるので、要注意。
 では、もしも、海外旅行中に食中毒になってしまったらどうしますか?A型肝炎、コレラなどは、発展途上地域では広く発生する感染症です。生水・氷・生の魚介類・カットフルーツの飲食は避け、食事は十分に火の通ったものを食べましょう。
 首相官邸のウェブサイト「海外での感染症対策」外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/kaigai.html(外部サイト)には、そのような時の対処法が紹介されていますので、参考にしてみてください。

食べ物で支える社会の取り組み

 品質管理上、形が悪いため売り物にならず廃棄されたり、家庭で食べ残しを捨ててしまう。このように食べられるにもかかわらず廃棄されてしまうのが、「食品ロス」。日本では年間642 万トンもあり(平成27年度)、約半数は一般家庭から出ています(第3次食育推進基本計画より)。これは一人当たりにするとなんと約24キロで、コンビニで売られているおにぎりで例えると、一人で年間240 個も捨てていることになります。
 政府は、平成17年に食育基本法を定め、知育、徳育、体育の基礎として食育を位置づけて、食品や栄養についての正しい知識、健全な食習慣の推進、生活習慣病の予防などの多彩な活動を展開しており、食品ロスの削減にも取り組んでいます。
 推進している一つがフードバンクという活動。これは、食品会社の製造過程や農家の生産過程で規格外となったものを引き取り、福祉施設などへ無料で提供する仕組みで、今では全国各地で行われています。
 また、食べ物で支える社会の取り組みとして、「子ども食堂」という活動も広がりをみせています。一例として、家庭事情により一人でご飯を食べたり、おなかを空かせたりしている子どもたちに温かな食事や居場所を無料もしくは低額で提供するといった活動があります。当初は民間から広がりましたが、一部の自治体では補助金を出すなどし、今では多世代間交流、学習支援や生活指導など、様々な支援につながっています。

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