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53号 成年年齢の引下げ

更新日:2021年12月7日

成年年齢が18歳の国々 成年年齢が18歳の国々(一例)

・アイスランド ・ノルウェー ・スウェーデン ・フィンランド ・ロシア ・イギリス ・アイルランド ・ドイツ ・フランス ・スペイン ・イタリア ・ギリシャ ・エチオピア ・サウジアラビア ・イラン ・パキスタン ・インド ・中国 ・マレーシア ・ベトナム ・オーストラリア ・アメリカ※ ・カナダ※ ・メキシコ ・キューバ ・チリ ・ブラジル
※州により異なります。

 2022年4月から、民法で定める成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。
 世界的にも成年年齢や選挙権年齢を18歳とする国が多くなっています。日本では2016年に施行された「公職選挙法等の一部を改正する法律」により、選挙権年齢を18歳と定めて、18歳及び19歳の方にも国政に参加してもらうといった政策が進められてきました。
 今回、成年年齢が引き下げられることで、お子さんやご兄弟、ご親戚、職場の後輩などが「成年」となるという方も多いのではないでしょうか。
 意外と身近な「成年年齢の引下げ」。どんな点が変わるのか一緒に考えてみましょう。

成年年齢の引下げで変わること・変わらないこと

 民法では「未成年者が法律行為(契約など)をするには、その法定代理人(親など)の同意を得なければならない」とされています。しかし、成年になればその同意が不要になります。
 また、親権に服さなくなるため、父母は成年に達した子に対して、契約などを代わって行ったり、住むところを決めたり(身上監護権)、子どもの財産を管理する(財産管理権)という必要がなくなります。
 一方、飲酒や喫煙等に関する年齢制限は20歳が維持されるなど、変わらないこともあります。

18歳からできるようになること

  • 親の同意がなくても契約できる
    ・携帯電話の契約・ひとり暮らしの部屋を借りる
    ・クレジットカードを作る・ローンを組む など
  • 性別の取扱いの変更審判
  • 10年有効のパスポートの取得
  • 国家資格を取る
    ・公認会計士、司法書士、医師免許、薬剤師免許 など
  • 結婚
    ・女性は16→18歳に変更(男女とも18歳に)

20歳にならないとできないこと

  • 大型・中型自動車運転免許の取得
  • 飲酒
  • 喫煙
  • 公営競技
    (競馬、競輪、オートレース、競艇)
  • 養子を迎える

少年法はどう変わる?

 少年が罪を犯した場合、すべての事件は家庭裁判所に送られ、処分が決定されます。ただし、家庭裁判所が、保護処分(家庭裁判所に送致された少年を更生させるために行われる少年法上の処分)ではなく、懲役、罰金などの刑罰を科すべきと判断した場合、事件は検察官に送られます(これを「逆送」と言います)。現行法では、16歳以上の少年時に犯した故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた事件が逆送の対象とされています。
 今回の改正少年法では、18歳及び19歳は「特定少年」として取り扱われ、家庭裁判所に送って処分を決定する仕組みは、維持されます。一方で、逆送事件は、その対象範囲が拡大され、強盗罪、振り込め詐欺といった組織的詐欺罪、強制性交等罪などが追加されることになりました。
 また、今回の改正により、特定少年のときに犯した事件が起訴された場合には、現行法では禁止とされている実名・写真等の報道も可能となっています(略式手続きの場合は除く)。

成年年齢の引下げで変わることを解説

契約

成年になるとトラブルに遭いやすい?

 未成年者でも契約を一人ですることができますが、親権者の同意を得ずに結んだ契約は、後から取り消すことができます。しかし、成年年齢が18歳に引き下げられることによって、18歳以上の者が一人で結んだ契約は、原則取消しができません。当然、契約を結ぶと発生する契約上の義務や責任も原則として取り消すことはできません。
 そうした契約のルールに関する知識や社会経験が乏しい成年を狙って、悪質な業者は近寄ってくるかもしれません。
 そのため、契約に関する様々なルールを知らないとトラブルに巻き込まれてしまうことも考えられます。
 消費者庁のHPによれば、20~24歳の成年からの相談件数は、未成年者(18・19歳)の約1・5倍にもなります。具体的には、「1回きりの購入が定期購入になっていた」「無料エステ体験後、別室で執ような勧誘を受けて高額なコースを契約してしまった」などの被害が発生しているそうです。

トラブルに遭わないためには?

 一旦締結した契約は、原則として守らなければなりません。そのため、契約上の義務などを怠るとトラブルに巻き込まれる、また、消費者被害に遭う可能性もあります。では、どんなことに気をつければよいのでしょうか。

ポイント(1)

よく考え、確認する

 契約書にサインする前に、自分にとって本当に必要な契約かどうかをよく考え、リスクやトラブルになり得る点がないかどうかもよく確認しましょう。
 契約をするように強く迫ってきたり、支払いを急かされたりするケースは、とりわけ注意が必要です。一旦書類を持ち帰るなどして、しっかり検討することが大切です。
 契約によっては、後で「言った・言わない」の争いにならないよう、契約前には契約書を作成してほしい旨を伝えましょう。特に、高額な契約をするときには必須です。
 契約書の内容がよく分からないときは、この時点で専門家に相談をしてもよいかもしれません。

ポイント(2)

ルールを知る

 民法や消費者契約法、特定商取引法といった法律などに、ルールがあります。
 契約をしてしまった後でも、相手にだまされたり脅迫されたりして結んだ契約は、取消しが可能です。また、美容医療や英会話教室等の契約では、クーリングオフという制度を使って取り消すことができます。
 一方で、アパート・マンションの賃貸契約のように、審査に通らなければ契約ができないこともあります。審査に通りたいがために虚偽の申告をすると、不利益を被るだけではなく、場合によっては処罰されることもあるので気を付けましょう。

養育費

Q. 離婚の際に、子どもの養育費を成年に達するまで支払ってもらう約束をしました。成年年齢が変わることで18歳までになってしまいますか?

A. 取決めがされた時点において成年年齢が20歳であれば、当初の約束どおり、子どもが20歳になるまで支払義務があると考えられます。また、18歳になり成年に達したとしても、子どもが大学進学などで経済的・社会的に自立しているとはいえない状態であれば、引き続き養育費を支払う義務が生じるでしょう。これから新たに養育費の取決めをする場合には、「○○が大学を卒業する年の3月末まで」のように、明確に支払期間の終期を定めることが望ましいといえます。

相続

Q. 夫が亡くなり、私は自宅に住み続けたいと思っていますが、娘は売りたいと言っています。娘は18歳ですが、自分で訴えを起こすと言っています。そんなことができるのでしょうか?

A. 相続で子どもが親権者と対立することになれば、特別代理人(未成年の子どものために親権者に変わって手続きをする人)の選任が必要です。しかし、成年年齢引下げにより、18歳になれば自ら訴えを起こせるのでこの手続は不要になります。よって、自ら訴えを起こせるようになります。なお、夫婦の一方が亡くなったとき、残された配偶者が引き続き自宅に住めるよう「配偶者居住権制度」が設けられています。そのため、本問の母親(妻)は法律の要件を満たせば、終身又は一定期間、その自宅を無償で使用することができます。両者が交渉で合意できなければ裁判等で争うことになるでしょう。

トラブルに遭った時は

 もしトラブルに遭ってしまったときは、一人で抱え込まずに家族や信頼できる友人、相談窓口などに相談することが大切です。あらかじめ相談窓口を知っておくと、身近な人が困ったときに教えることもできます。

  • 法テラス
    法テラス・サポートダイヤルでは、お問合せに対し、適切な法制度や相談窓口等を案内しています。法テラス・サポートダイヤル「0570-078374(おなやみなし)」までお電話ください(通話料がかかります)。
    経済的に余裕のない方で、一定の基準を満たしている方は、弁護士等による無料法律相談や弁護士費用等の立替えといった援助制度を受けられます。
  • 消費生活センター
    消費生活センターでは、消費者トラブルに巻き込まれた場合などの相談窓口として、消費者ホットライン「188(いやや!)」が設置されています。契約後でも疑問に思ったり困ったりしたときは、早めに最寄りの消費生活センターに相談しましょう。
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