

見知らぬ土地で仕事をすることが、
自分を成長させてくれる
法テラス釧路法律事務所 高田光宏弁護士(71期)
※所属事務所は、インタビュー当時のものです。
敷居の低い法テラスだからこそ、困っている人の力になれる。
これは地方に行くと、より感じることなんですけど、やはり一般の方々にとって、法律事務所はかなり敷居が高いようなんです。困っていてもなかなか訪れることができない。法テラスの場合は公的機関ということがだいぶ知られてきたので、一般の弁護士に相談するよりはかなりその敷居が低くなっているのではないかと思います。また、市役所などから紹介されて出会える場合もあります。本当に経済的に困窮して明日をどう生きて行こうかと考えている人たちと、スタッフ弁護士だからこそ関わることができ、元気になって帰っていただけたときは、弁護士冥利に尽きると感じます。
実は、僕の父はバブル崩壊で大きな借金を作ってしまい、それが原因で中学生の頃に何度も引っ越しをせざるを得なかった経験があります。そんな経験をしている僕だからこそかけられる言葉、できることがあると思うので、債務整理は自分のライフワークにしたいと思っています。
1人事務所ならではの、不安と自由。
僕は司法修習生時代に長崎県の離島、五島の法テラスの法律事務所を訪ねる機会がありました。そこのスタッフ弁護士の先生が、とにかくすごく楽しそうだったんです。もちろん忙しそうでもあったんですけど、とても楽しそうに見えて。もともと離島での暮らしに興味もあったので、離島に住むチャンス、そしてそこで弁護士として仕事ができるチャンスのある、スタッフ弁護士になりました。法テラスに入って、まず岡山の法律事務所で1年間養成を受けた後、長崎県の離島にある法テラス壱岐法律事務所に赴任しました。ここは司法過疎地なので、事務所のスタッフ弁護士は僕1人です。弁護士としての経験もあまり無かったですし、受けたことの無い案件を受けたときなど、本当に不安になりました。これは全国の1人事務所のスタッフ弁護士全員が抱えている不安だと思います。僕の場合は当時、長崎県内の他の法律事務所にスタッフ弁護士がたくさんいたので、いつでも相談することができ、心強かったです。そうした先輩スタッフ弁護士に電話で相談することもありましたし、本部の常勤弁護士業務支援室に相談することもありました。実際に電話をしなくても、隣の島に僕よりもずっと先輩のスタッフ弁護士がいて、いつでも頼ることができる、そう思えるだけでとても安心できたことを覚えています。
一方で、1人事務所は、自分の裁量で自由に仕事ができるので良い面もたくさんあるんです。僕自身は不安よりも、自由に仕事ができる楽しさのほうが大きかった気がします。
見知らぬ土地で働くことに、ワクワクします。
僕は現在、北海道の釧路で働いています。もともと岡山から壱岐に異動するときも、離島で働きたいという希望を出していました。岡山時代に結婚したのですが、妻と相談して、妻も離島での生活に興味があったため、離島で希望を出し、それが叶えられた形です。今回は九州の壱岐から一気に北海道へ。北海道も妻と相談して希望を出し、それが叶って釧路勤務となりました。妻も僕と同じで、いろいろなところで生活してみたいタイプなので、それぞれの暮らしを楽しんでいるようです。
法テラスのスタッフ弁護士には異動がつきものですが、僕はこれは考え方1つだと思うんです。スタッフ弁護士が扱う案件も、その地域ごとで特性があり、いろいろなことを吸収することができ、いろいろな価値観に出会う機会があります。いろいろな土地に住んで、なおかつそこで仕事をすることができる、そんな環境はなかなかありません。見知らぬ土地で働くことに、僕はとてもワクワクしてしまいます。スタッフ弁護士の仕事に興味がある方には、是非とも法テラスに入って、異動の醍醐味を味わってもらいたいですね。弁護士としてだけではなく、人間としても必ず成長できるはずです。僕はこれからも必要とされる場所で自分なりに輝いていきたいです。