法テラス常勤弁護士業務支援室専門員 岩本幸恵弁護士

各地でがんばっているスタッフ弁護士を、私たちが力いっぱいサポートします。

法テラス常勤弁護士業務支援室専門員 岩本幸恵弁護士(63期)

※所属事務所は、インタビュー当時のものです。

充実した支援体制の中で、思う存分自分の力が磨ける、スタッフ弁護士という仕事

 私は、スタッフ弁護士として法テラスの法律事務所などで働いたあと、現在は一般の法律事務所に勤務しています。法テラスのスタッフ弁護士と一般の弁護士の最も大きな違いは、スタッフ弁護士は、自分が支援が必要だと感じた案件をやりたいだけやれること、自分の力を磨きたいだけ磨けることではないかと思います。もちろんスタッフ弁護士が費用対効果を全く考えなくてよいということではありませんが、やはり一般の弁護士のほうが、自分の生活を維持しなければいけない、事務所を維持しなくてはいけない、経費等の支払いも考えなければいけない、という点でよりシビアなのではないでしょうか。研修や私がいる業務支援室などの相談窓口も充実しており、そうした中で思う存分案件に注力できるスタッフ弁護士という仕事は、弁護士という職業のキャリア形成という点で、非常に貴重な経験のできる時間だと思います。

 

さまざまな得意分野を持つ先輩弁護士に内線1本でつながる業務支援室

 私がいる業務支援室は、各地に赴任したスタッフ弁護士が、事案の内容や業務全般で悩んだときに、内線1本でつながって、いつでも相談できる場所です。業務支援室には司法研修所の教官を務められたようなベテランの弁護士や、私のような若手の弁護士まで幅広い年齢層の弁護士、そしてさまざまな得意分野を持った弁護士が専門員として日替わりで待機し、電話やメールでスタッフ弁護士の相談を受けています。また、弁護士だけでなく、ソーシャルワーカーの専門員も在籍しており、弁護士とはまた違った視点からのアドバイスが受けられます。難しい相談内容の場合は、専門員の間で議論をして対応する場合もあります。さらに、日々寄せられる相談内容からニーズをくみ取って、スタッフ弁護士の業務に必要な研修を段階に応じて企画しています。研修は内部の弁護士だけでなく、外部から、たとえば裁判官の方などを招聘して行う場合もあります。

 私たち専門員は、電話をかけてきたスタッフ弁護士たちが電話を切るときに、少しでも明るい気持ちになって、肩の荷を下ろして電話を切ってくれるといいなと思って対応しています。中には「あのとき相談したことがきっかけで、こういうふうにしたらうまくいきました」と報告をしてくれるスタッフ弁護士もいます。そうした報告を聞くと「ああよかったな」と、喜びもひとしおです。スタッフ弁護士たちの後ろには常に私たちがおり、全力でサポートしています。これからスタッフ弁護士になろうと考えている方にも、ぜひ安心していただければと思います。

 

スタッフ弁護士に求められる資質とは何か

 私はスタッフ弁護士に求められる資質として、大きく分けて3点あるのではないかと思います。1つ目は興味を持っていろいろなことに挑戦する力。これまで多くのスタッフ弁護士たちが各地に赴任し、その地域で問題になっている課題を見つけたり、それまで手が届いていなかったことに思い切ってチャレンジして開拓したりしてきたことが、現在に引き継がれています。自分が興味を持ったこと、思い切ったことにチャレンジできるのもスタッフ弁護士のよいところではないかと思います。

 2つ目は自分に求められているものを理解し、実践する力。スタッフ弁護士が赴任する地域、配属される事務所、立場、部署によって、求められるものは違います。自分に何が求められているのかを理解する力、そしてそれを行動に移せる力が必要です。

 3つ目はよい意味で人を巻き込む力。スタッフ弁護士は1年間の養成期間を終えると、即戦力として各地に赴任します。初めて見る事態、初めて経験する状況がどうしてもある中で、1人で抱え込まず、誰かに打ち明けたり相談したりできる力が非常に重要になってきます。また、自分の考えを整理して誰かに説明することで、仲間を増やすきっかけにもなります。よい意味で周りの人を巻き込む力があると、円滑に仕事をすることができ、元気に赴任地で過ごすことができると思います。

 充実した支援体制の中で思う存分仕事ができる経験は、その後のキャリアの中で必ず活きてくるはずです。目的を持って、いろいろなことを吸収したいと願って自分から行動すれば、それを受け止めるだけの体制を持っているのが法テラスだと思います。