法テラス延岡法律事務所 佐々木美智弁護士

味方のいない人の味方でありたい

法テラス延岡法律事務所 佐々木美智弁護士(70期)

※所属事務所は、インタビュー当時のものです。

高校の授業の模擬裁判が弁護士を志したきっかけです。

 私が弁護士を志したのは、高校のときの政治経済の授業がきっかけです。授業の中で模擬裁判をやったのですが、私は被告人役でした。実際の法廷をお借りしての授業だったので、私も法廷の真ん中に被告人として座りました。その時、本当に針のむしろのように感じたんです。そのときに唯一私の味方だと思えたのが弁護人役の人たちで、本当に心強く感じました。こんなふうに周りに味方がいない人の味方になりたい、そう思ったのが弁護士を志したきっかけです。

 法テラスのスタッフ弁護士を目指したのも、やはり同じ理由からです。大学生のときに公設の法律事務所でアルバイトをしたのですが、そこはお金の無い方や、他の事務所では受けてもらえなかったとおっしゃる方も多くいらっしゃる事務所でした。実際に味方のいない方の味方になっているのはこうした事務所だなと感じ、同様の活動ができる、法テラスのスタッフ弁護士を志すようになりました。

 

被告人の唯一の味方となって検察官や裁判官と対峙する、刑事弁護に注力しています。

 現在私が注力しているのは刑事弁護です。もともと弁護士を志したきっかけが刑事裁判でもあったので、刑事弁護には最初から興味がありました。スタッフ弁護士として赴任するための養成期間を過ごした法律事務所が刑事弁護をたくさん受けている事務所だったので、そこで育ったというのも私が今刑事弁護に注力している一因だと思います。

 刑事弁護で難しいと思うのは、1人で何もかもやらなければいけない場合が多いということです。刑事事件において、検察官は、国家権力を持っている上に組織で動きます。一方で、刑事弁護において、国選で選任される弁護士は基本的に1人です。大きな組織に、一人で立ち向かっている感覚がありますが、そこで弁護人が頑張らなければ、被告人は本当に一人になってしまいます。刑事事件では検察官からの一方的な視点ばかり強調されてしまうと、被告人がやったこと以上の罰を受けなければいけなくなってしまいます。やったことはやったこと、やっていないことはやっていないこととして弁護人の視点からしっかり主張しなければなりません。被告人の唯一の味方として、検察官や裁判官と対峙する。そこが難しさでもあり、やりがいを感じるところでもあります。

 

内線の向こうには同じスタッフ弁護士がいる。そう思うと不安はありません。

 スタッフ弁護士になって1年間の養成期間を終え、最初に赴任したのが宮崎でした。それまでは九州に足を踏み入れたことも無かったので、本当に見知らぬ土地でのスタートになりました。もちろん不安はありましたが、養成期間を過ごした東京の事務所出身の先生が宮崎に複数名いらっしゃり、相談に乗っていただきました。また宮崎の弁護士会は規模が小さく、顔が見える関係なので、周りの先生方にも温かく接していただきました。現在は法テラス延岡法律事務所に赴任しているのですが、延岡は司法過疎地域であり、事務所の弁護士は私1人だけです。スタッフ弁護士になろうか迷っている方から、どこに赴任するかわからない、事務所に弁護士が1人かもしれないということが不安、という声をよく聞きますが、スタッフ弁護士は全員が内線でつながっており、いつでも気軽に相談することができます。また、本部にある常勤弁護士業務支援室とも内線でつながっており、ベテランの先生方がスタッフ弁護士のために控えていてくださっているため、困ったことがあればすぐに相談することが可能です。研修制度なども含め、バックアップ体制がしっかりしていることも、私がスタッフ弁護士になって良かったと思うところです。