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家事:婚約、結婚、離婚

更新日:2023年11月29日

ご利用前にご一読ください。

  • FAQは、日本の一般的な法制度を紹介するものであり、個別具体的な相談に対する答えではありません。また、個別の事情によっては、日本の法制度が適用されない場合があります。
  • ここに掲載していないFAQがあるか知りたい方や、個別具体的な相談をなさりたい方は、多言語情報提供サービス(0570-08377)にお問合せください。相談内容に応じてFAQや相談窓口をお調べして、ご案内します。
  • FAQに基づき、個別具体的なトラブルを解決しようとし、何らかの損害が生じた場合でも法テラスでは責任を負いかねますので、ご了承ください。

目次

婚約

結婚

離婚

Q01: 婚約を解消する場合には、相手方に慰謝料を支払わなければなりませんか?

  • 正当な理由がある場合には、責任を負うことなく婚約を解消することができます。
  • 正当な理由がない場合には、相手に生じた損害を賠償する必要があります。

 
(説明)
・将来円満な夫婦生活ができないような事情があり、婚約を破棄することに正当な理由があると認められる場合には、何の責任を負うことなく婚約を破棄することができます。
・例えば、相手方がこれまでの生活の中で、給料の金額、借金等、生活の中での重要な部分について無視できないようなウソをついていた場合などは、婚約破棄の正当な理由があるとされます。
・正当な理由がないのに婚約を破棄した場合は、婚約不履行として、慰謝料等によって損害を賠償しなければなりません。

Q02: 日本に居住する外国人同士が結婚する場合には、どのような手続が必要ですか?

  • 外国人が居住する市区町村役場へ、婚姻届を提出してください。
  • 婚姻届には、外国人が本国の身分法上結婚できる資料(一般的には婚姻要件具備証明書)を添付してください。
  • 外国人が日本にあるその国の大使館又は領事館にその外国の方式により婚姻届出をすることもできます。

 
(説明)
・日本に居住している外国人は、本国の身分法上婚姻できる要件を備えている旨の資料(一般的には婚姻要件具備証明書)を、婚姻届に添付して戸籍の届出をするということによって、日本において婚姻が成立します。
・外国人には、日本国籍がないことから戸籍もないので、この届出によって戸籍が編製されることはありません。
・婚姻を証するためには、届出の受理証明書か届書の記載事項証明書によることになります。
・外国人が日本にあるその国の大使館又は領事館にその外国の方式により婚姻届出をした場合には、日本の戸籍届出窓口への届出は不要です。

Q03: 日本で、日本に居住する外国人と日本人が結婚する場合には、どのような手続が必要ですか?

  • 日本人の住所地又は本籍地の市区町村役場へ、婚姻届を提出してください。
  • 婚姻届には、相手方の外国人が本国の身分法上結婚できる要件を備えている旨の資料(一般的には婚姻要件具備証明書)を添付してください。

 
(説明)
・日本人が日本における婚姻に関する条件を満たしていることと、外国人が本国の婚姻に関する条件を満たしていることの双方を審査した上で、役場で届出が受理され、日本人の本籍地の市区町村に送付されることになります。
・日本人の住所地に婚姻届を提出する場合は、日本人の戸籍謄本又は抄本(本籍地がコンピュータ化されている場合は、戸籍全部事項証明書又は一部事項証明書)を添付することが望ましいようです。
・出入国管理法に基づく難民認定が認められた外国人については、居住地である日本法が本国法とみなされることになります。

Q04: 就労可能な在留資格を取得して、日本で働いている外国人です。家族を呼び寄せることはできますか?

  • 家族については、在留資格「家族滞在」で滞在できる可能性があります。
  • 短期の訪問については、「短期滞在」の在留資格で滞在できる場合もあります。

 
(説明)
・本国の日本大使館等に在留資格を申請します。
・ただし、家族滞在や短期滞在の場合は、原則として日本で就労することはできません。
・日本での滞在が長期にわたり、在留資格「永住者」を取得した場合は、その家族も「永住者の配偶者等」として永続的在留が可能となります。

Q05: 私は外国人で、配偶者は日本人です。私は「日本人の配偶者等」の在留資格で日本で生活していますが、このような外国人が日本人の配偶者と別居すると、日本に住み続けることができなくなるのでしょうか?

  • 別居の事実だけでなく、その他の事情も総合的にみて、夫婦関係がもはや破綻し、婚姻が社会生活上の実質的基礎を失っていると判断される場合には、「日本人の配偶者等」の在留資格を失う可能性があります。
  • 婚姻が社会生活上の実質的基礎を失った後にも、引き続き日本での滞在を希望する場合には、「日本人の配偶者等」から別の在留資格へ変更する必要があります。

 
(説明)
・日本人と法律上の婚姻関係にある外国人には、「日本人の配偶者等」の在留資格が認められますが、離婚した場合はもちろん、夫婦関係がもはや破綻し、婚姻が社会生活上の実質的基礎を失っていると判断される場合にも、在留期間の更新が許可されなかったり、在留資格を取り消されたりする可能性があります。
・婚姻が社会生活上の実質的基礎を失っているかどうかについては、別居の事実だけでなく、別居の経緯や期間、夫婦間における連絡の有無や程度、生活費の分担状況などの事情を総合的に考慮して判断されます(例えば単身赴任など、別居に正当な理由が認められる場合もありますので、別居の事実だけで判断されるものではありません)。
・日本人配偶者と離婚したり、婚姻の社会生活上の実質的基礎が失われていると判断されたりすると、外国人は「日本人の配偶者等」の在留資格を失う可能性があります。そのため、その後も引き続き日本での滞在を希望する場合には、別の在留資格(定住者など)へ変更する必要があります。
・いったん在留資格を失ってしまうと、あらためて別の在留資格を取得することは非常に困難です。別の在留資格へ変更するのであれば、「日本人の配偶者等」の在留資格がある間に、変更しておくべきです。
・在留資格についてご心配であれば、弁護士等の専門家にご相談なさって、出入国在留管理局の運用や裁判例もふまえた適切な助言を受けられるのがよいでしょう。

Q06: 別居中の配偶者に対して、生活費を支払うよう請求することはできますか?

  • 請求できます。

 
(説明)
・夫婦が別居していても、離婚が成立するまでは、夫婦にはお互いに扶養義務があります。
・扶養義務を根拠として、収入や扶養している子の人数などに応じて、毎月の生活費を請求することができます。これを「婚姻費用」といいます。
・婚姻費用について話合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に婚姻費用分担請求の調停を申し立てて、裁判官と調停委員の仲立ちの下で解決することができます。

Q07: 配偶者からの暴力に悩んでいます。どうすればいいですか?

  • 身の危険を感じている場合には、まず、警察あるいは配偶者暴力相談支援センター(女性センター、男女共同参画センター等、名称は様々です)に相談し、援助してもらいましょう。
  • 次に、弁護士に相談されることをお勧めします。

 
(説明)
・配偶者からの暴力(DV)は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害です。
・配偶者暴力相談支援センターでは、一時保護施設(シェルター)への入居について相談できます。
・場合によっては、つきまとうことや、住居・職場等の近くを徘徊することを禁止する命令(接近禁止命令)や、配偶者を一時的に住居から退去させる命令(退去命令)、子に対する接近禁止命令、親族等への接近禁止命令、電話等禁止命令を発するよう、裁判所に申し立てることができます。
・暴力は、離婚原因や慰謝料請求原因にもなります。
・配偶者から暴力をふるわれたり、暴力によりけがを負わされた場合などには、刑事告訴することもできます。
・法テラスでは、DVの被害を受けている方に対して、資力に関わらず、さらなる被害の防止に関する法律相談を実施しています(DV等被害者法律相談援助業務)。利用を希望される方は、多言語情報提供サービス(0570-078377)に電話してください。

Q08: 昨年結婚しましたが、間もなく夫が暴力を振るうようになりました。大きな声で怒鳴られると怖くて仕方がありません。どこかへ行くあてもないので、我慢して家にいます。

  • 配偶者から殴られた時は病院に行き、けがの診断書をとっておくことを勧めます。
  • もし、生命に危険を感じたら迷わず警察に連絡しましょう。
  • また、お住まいの市町村役場や各都道府県の婦人相談所には、女性問題の担当者(婦人相談員など)がいますので、相談することができます。家を出たい場合は、一時避難のシェルターが利用可能か婦人相談員に聞いてみましょう。
  • もし離婚することになって、離婚調停などの手続き中に在留資格の更新をする時期になってしまったら、出入国在留管理局にDVによる離婚調停中であることを相談しましょう。この際に、診断書や婦人相談員への相談した経緯が有効となってきます。

Q09: 配偶者からの暴力を避けるために接近禁止命令が出ましたが、子どもが連れて行かれないか心配です。どうすればよいでしょうか?

  • DV防止法の被害者への接近禁止命令に付随して、被害者の同居の子への接近禁止命令を申し立てることができます。
  • 子が成年に達している場合には、被害者の親族等への接近禁止命令を申し立てることができます。
  • ストーカー規制法の警告の申出や、民事保全法の仮処分の申立てができる場合もあります。

 
(説明)
・DV防止法の正式名称は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」です。
・ストーカー規制法の正式名称は、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」です。
・未成年の子どもと被害者が同居している場合、暴力を振るう配偶者(加害者)が子どもを連れ去ることで、被害者が加害者に面会せざるを得なくなることを防ぐため、必要があるときは、被害者は6か月子どもの学校や通常所在する場所の付近の徘徊(はいかい)、つきまといを禁止する接近禁止命令を申し立てることができます。
・子どもに関する接近禁止命令は、子どもが15歳以上のときはその同意がなければ申立てできません。
・ストーカー規制法は、被害者に対する恋愛・好意の感情又はそれが満たされないことによる怨恨の感情を充足する目的で、被害者や被害者に密接な関係を有する者に、つきまといなどを反復して行うストーカー行為を規制しています。
・ストーカー規制法による警告は、警察に申し出ることで行われます。
・「つきまとい等」があると、公安委員会は、一定の手続をしてから、相手方に対して「つきまとい等」行為の禁止命令を出すことができます。緊急の場合は、一定の手続をせずに禁止命令を出すことができます。
・民事保全法による面会禁止や接近禁止の仮処分は裁判所に申立てをします。
・どの手続が最適かの判断を必要とする場合には、弁護士等の専門家に相談するとよいでしょう。

Q10: 離婚後や内縁関係においても、DV防止法による保護を受けられますか? 外国人や男性はどうですか?

  • 離婚後や内縁関係中及び内縁関係解消後でも保護の対象になりますし、外国人や男性でも保護の対象となります。

 
(説明)
・離婚の後、「元配偶者」から引き続いて暴力を受ける場合も、DV防止法による保護の対象となります。
・同法において、「配偶者」には婚姻の届出はしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者(内縁の夫・妻)も含まれ、また、「離婚」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者が、事実上離婚したと同様の事情に入ることも含まれています。したがって、内縁関係(事実婚状態)である場合やその解消後も、DV防止法による保護を受けることができます。
・ただし、婚姻や内縁関係にある間は暴力や脅迫を受けておらず、離婚や内縁関係解消後に暴力や脅迫が始まったという場合には、DV防止法の対象とはならないため、ストーカー規制法等により対応することになります。
・配偶者・内縁の配偶者(であった者)からの暴力だけでなく、同居または同居していた交際相手からの暴力もDV防止法の対象となります。
・DV防止法の適用対象は、被害者の性別や国籍により限定されていないため、男性や外国人がDV被害を受けた場合についても、保護を受けることができます。DV被害者の保護、捜査、裁判等に職務上関係のある者は、その職務を行うにあたり、被害者の国籍等を問わずその人権を尊重し、安全確保、秘密保持に十分な配慮をしなければなりません。

Q11: 日本に在住する日本人と外国人の夫婦です。お互いに離婚には合意しているので、協議離婚をして離婚届を提出しようと考えていますが、外国人配偶者の本国でも日本における離婚を承認してもらうためには、どのような手続をとればよいですか?

  • 外国人配偶者の本国で協議離婚が認められている場合は、市区町村役場に離婚届を提出した上で、日本国内にある外国人配偶者の本国の領事館等にも届出をすれば、外国人配偶者の本国においても離婚が承認されます。
  • 外国人配偶者の本国では協議離婚が認められていない場合に、外国人配偶者の本国でも離婚を承認してもらうためには、協議離婚ではなく、裁判手続を利用して離婚をする必要があります。

 
(説明)
・夫婦の一方が日本に住所を有する日本人である場合には、外国人配偶者がいずれの国籍であっても、離婚について日本法(日本の民法)が適用されますので、日本の方式により協議離婚をすることができます。
・しかし、外国人配偶者の本国で協議離婚が認められていない場合は、日本の市区町村役場に離婚届を提出しても、「日本では離婚が成立しているのに、配偶者の本国では離婚が成立していない」という状況が生じてしまいます。
・これを避けるためには、協議離婚ではなく、あえて裁判手続を利用して離婚をする必要があります。
・国によっては、離婚訴訟(裁判離婚)による離婚しか認めない国もありますが、そのような国のなかにも、離婚の調停調書に「本調停は日本国家事事件手続法第268条により確定判決と同一の効力を有する」との記載があれば、調停離婚をもって離婚訴訟による離婚として承認する国もありますので、外国人配偶者の本国における取扱いを確認なさるとよいでしょう。
・外国の法制度に関しては、日本国内にある当該国の領事館などに問い合わせて確認することもできます。
・詳しくは、弁護士等の専門家にご相談なさってください。関係する外国の弁護士等に相談することが必要な場合もありますので、その確認も含めてご相談なさることをお勧めいたします。

Q12: 配偶者が離婚届を勝手に提出してしまわないか心配です。どうすればいいですか?

  • 市区町村役場に離婚届を受理しないよう申し出ることができます。
  • ただし、当事者双方がいずれも外国人であるときは、不受理申出をすることができません。

 
(説明)
不受理申出は、届出によって効果が生ずる婚姻等について、本人が知らない間に虚偽の届出が受理されて戸籍に真実でない記載がされることを防ぐために設けられた制度です。自己の意思に基づかない離婚届等の届出がされるおそれがある場合に、有効な手段です。
≪手続の概要≫
・あらかじめ本籍地等の市区町村長に対し、申出者本人が届け出たことを確認できない限り、該当する届出を受理しないように申し出るものです。
・この制度が利用できるのは、届出により効力が生じる認知、養子縁組、離縁、婚姻、離婚の届出です。
・申し出ることができるのは、認知であれば認知する者(父親)、婚姻や離婚であれば夫婦双方など、自らを届出事件の本人とする届出に関してのみです。また、届出の相手方を特定した申出をすることも可能です。
・申出は本籍地の市区町村役場のほか、住民登録をしている市区町村役場でもできます。
・役場の業務時間外であっても、夜間の当直がいる場合には、当直に不受理の申出を受領してもらうことが可能な場合があるようです。
・申出した後は期間の制限はありません。不受理申出を取り下げるまでは、届出は不受理の扱いとなります。
・知らない間に提出された離婚届等を不受理の扱いとしたときは、市町村長は、不受理申出をした者に、その旨を通知することとなっています。
・詳しくは、市区町村役場の窓口にお問い合わせください。
≪外国人の場合≫
不受理申出は、当事者の意思に基づかない戸籍の記載がされることを防止するための制度であることから、当事者双方が外国人同士である場合は、対象となる戸籍がないため、これを利用することができません。当事者の一方が日本人で、もう一方が外国人である場合は、日本人当事者の戸籍があるため、日本人、外国人のいずれからも不受理申出をすることができます。

Q13: 日本に住む、双方外国人の夫婦です。離婚するには、どのような手続が必要ですか?

  • 夫婦の本国法が同じで、その本国法で協議離婚が認められている場合などは、協議離婚により離婚することができます。そもそも夫婦間で離婚の合意がない場合や、本国法で協議離婚が認められていない場合は、裁判手続を利用して離婚することになります。
  • 外国人が当事者となる場合、日本の裁判所を利用できるかどうかも問題となりますが、夫婦ともに日本に住んでいるときは、日本の裁判所(家庭裁判所)で離婚調停や離婚訴訟をすることができます。

 
(説明)
≪協議離婚により離婚する場合≫
・次の場合には、夫婦双方が離婚に合意していれば、協議離婚をすることができます。
(1) 夫婦の本国法が同じで、その本国法で協議離婚が認められている場合(もっとも、日本の方式による協議離婚ではなく、本国法の定める方式によるべき場合もあります)。
(2) 夫婦の本国法は異なるが、夫婦ともに日本に住んでいる場合。
≪裁判手続を利用して離婚する場合≫
・夫婦間で離婚の合意がなければ、裁判手続を利用することになります。
・夫婦双方が離婚に合意していても、夫婦に共通の本国法で協議離婚が認められなければ、裁判手続を利用して離婚する必要があります。
・また、日本の方式による協議離婚が可能な場合であっても、夫婦いずれか一方または双方の本国法で協議離婚が認められておらず、本国で離婚を承認してもらうために、あえて裁判手続を利用することもあります。
・夫婦ともに日本に住んでいるときは、日本の裁判所(家庭裁判所)で離婚調停や離婚訴訟をすることができます。なお、離婚訴訟を提起する前に、離婚調停を行わなければなりませんが(調停前置主義)、離婚調停による離婚では本国で承認してもらえないといった事情があれば、調停を経ないで離婚訴訟を提起することもできます。
・離婚訴訟(裁判離婚)による離婚しか承認しない国のなかにも、調停離婚の調書に「本調停は日本国家事事件手続法第268条により確定判決と同一の効力を有する」との記載があれば、調停離婚をもって離婚訴訟による離婚として承認する国もあります。本国における取扱いを確認なさるとよいでしょう。
・日本の裁判所(家庭裁判所)における手続でも、夫婦の本国法が同じ場合は、離婚についてその本国法に基づいて判断されます。夫婦の本国法が異なる場合には、常居所地法である日本法(日本の民法)に基づいて判断されます。
≪注意事項≫
・外国人であっても、離婚が成立すれば、市区町村役場に離婚届を提出しなければなりません。
・日本において離婚が可能であるとしても、養育費、面会交流、財産分与など、離婚に関連する他の問題の解決まで視野に入れたときに、あえて、関係する外国の裁判所で手続をとることが利益にかなう場合もあります。
・詳しくは、弁護士等の専門家にご相談なさってください。関係する外国の弁護士等に相談することが必要な場合もありますので、その確認も含めてご相談なさることをお勧めいたします。

Q14: 離婚調停の際に、弁護士に付き添ってもらうことができますか?

  • 弁護士に付き添ってもらうことができます。

 
(説明)
・家事調停手続において、事件の性質上本人自身の出頭が原則として要請されます。しかし、やむを得ない事情がある場合には、本人の代わりに代理人を出頭させることができます。
・また、裁判所の許可を得て本人に付き添って本人の陳述などを補佐するものとして、補佐人とともに出頭することもできます。
・裁判所の許可があれば、誰でも代理人・補佐人となることができますが、裁判所はいつでもその許可を取り消すことができます。
・弁護士の場合は、裁判所の許可がなくても、代理人・補佐人となることができます。

Q15: 離婚する場合、子の親権はどうなるのですか?

  • 離婚時に未成年の子がいる場合、親権者は父母のどちらか一方に定めなければなりません。

 
(説明)
子が未成年であれば、以下のようにして親権者を定めます。
(1) 協議離婚の場合
協議により父母のいずれか一方を親権者として定め、離婚届を提出します。親権者を決めることができなければ、協議離婚はできません。話合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停で、裁判官と調停委員の仲立ちのもと、離婚に伴って親権者を定めることができます。
(2) 調停離婚の場合
家庭裁判所での調停離婚に際し、親権者を定めます。定めるにあたっては、子の年齢及び発達の程度に応じてその意思を考慮しなければならないとされており、家庭裁判所調査官による調査がなされることがあります。
調停は話合いの場なので、合意が成立しないこともあります。その場合は、離婚調停は不成立として終了させるのが一般的です。不成立として終了した後は、家庭裁判所での離婚に伴う訴訟手続に進むことができます。
(3) 裁判離婚の場合
離婚判決において、裁判所の判断によって親権者が定められます。
裁判所は、離婚訴訟で親権者指定の裁判をする場合、子が15歳以上のときは、親権について子の意見を聴く必要があります。

Q16: 日本人と外国人の夫婦が離婚する場合、子の親権はどうなるのですか?

  • 親権者の指定について、父または母が日本人で、子も日本国籍を有する場合には、日本法(日本の民法)に基づいて判断されます。
  • 日本法(日本の民法)では、未成年の子がいる父母が離婚する場合には、その一方を必ず親権者としなければならないとされています。協議離婚をした場合でも、離婚届に親権者の記載がないと、離婚届は受理されません。

 
(説明)
・夫婦の間で離婚や親権について話し合いがまとまらない場合は、裁判手続を利用します。相手方(他方の配偶者)が日本に住んでいるときは、日本の裁判所(家庭裁判所)に離婚調停を申し立てることができます。
・外国人が当事者となる場合、どこの国の法に基づいて判断されるかも問題となりますが、親権者の指定については、父または母が日本人で、子も日本国籍を有するときは、日本法(日本の民法)に基づいて判断されます。
・日本法(日本の民法)では、離婚後、父母のどちらか一方が親権者となります(単独親権)。父母がともに親権者となること(共同親権)は認められません。
・親権者を決めるに際しては、それぞれの親の経済力、居住環境、心身の健康・性格、子に対する愛情、養育能力、監護の継続性など父母側の事情のほか、子の年齢、心身の状況、生活環境の継続性、子の意思など子の側の事情も総合的に考慮して、父母のどちらを親権者とするのが、子の福祉にかなうかという観点から判断されます。
・親権についての話し合いがまとまらない場合に、親権者とは別に監護者を定め、監護者が実際に子の世話や教育をするという方法も考えられますが、将来において、子の養育方針などを巡って親権者の立場と監護者の立場で意見が対立し、相手方とのやり取りが精神的に大きな負担となることもありますので、十分に考慮したうえで、判断なさってください。
・親権者とならなかったとしても、離婚後も子の親であることは変わりません。面会交流や養育費の支払いについても明確に取り決めておきましょう。
・詳しくは、弁護士等の専門家にご相談なさってください。

Q17: 離婚をする場合、子の親権者はどのような判断基準で決めることになるのでしょうか。

  • 「子の福祉」の観点から総合的に判断されることになりますが、現実の親子関係の状況はそれぞれケースで異なり、明確な基準はありません。

 

(説明)

・親権者・監護権者の指定における判断要素は、条文上詳しく規定されていません。実務上は、「子の福祉」の観点から判断するものとされています。

・具体的には、子の側の事情として、年齢・性別、心身の状況、現状における適応状況、新しい養育環境への順応性、子の意思など、父母側の事情として、監護能力、子に対する愛情の程度、経済力、生活環境などを総合的に考慮して、「子の福祉」の観点から判断することになります。

・裁判例からは、次のような傾向がみられます。

(1) 監護の継続性

(2) 子が乳幼児の場合は母を優先させる

(3) 子が判断能力を有する年齢(おおむね15歳)であれば子の意思を尊重する

(4) 兄弟姉妹はなるべく同一親権者のもとに置く

(5) 一方に不貞行為等の有責行為があっても、当然に親権者に値しないと判断することはできない

・詳しくは弁護士に相談するとよいでしょう。

Q18: 離婚の際の慰謝料は、どのような場合に請求できるのですか?

  • 相手方の有責行為が主たる原因となって離婚に至った場合、離婚そのものの慰謝料を請求することができます。

 
(説明)
・有責行為とは、不貞や、身体的・精神的暴力、悪意の遺棄(生活費の不払い等)など、婚姻上の義務に違反する行為のことを指します。
・相手方の有責行為があったとしても、その程度が軽い場合などは、慰謝料請求が認められない場合もあります。
・当事者双方に有責性がある場合には、双方を比較して、有責性の大きい方が小さい方へ慰謝料を支払うことになります。
・離婚原因が、単なる性格の不一致等の、相手方に有責行為が認められない場合や、双方の有責性が同じ程度である場合には、一般的に離婚慰謝料は認められません。
・詳しくは、弁護士に相談するとよいでしょう。

Q19: 配偶者の不貞相手に、慰謝料を請求することができますか?

  • 次の場合には、配偶者と不貞相手に対し連帯して慰謝料を請求することができます。
  1. 不貞相手が、相手に配偶者のいることを知りながら、わざと肉体関係を持った場合
  2. 注意すれば相手に配偶者がいることを知ることができたにもかかわらず、不注意で肉体関係を持った場合

 
(説明)
・不貞相手への慰謝料請求は判例上認められています。ただし、その不貞相手が、配偶者が婚姻していることを知らず、知らなかったことについて過失がない場合には、損害賠償義務を負いません。
・不貞を行った時点で、すでに婚姻関係が破綻していた場合には、原則として、慰謝料は認められていません。不貞が発覚した後でも夫婦が離婚していない場合などには、婚姻関係を破たんさせておらず、さほど損害がないと判断されることもあります。
・不貞の事実や相手方の認識についてどのような証拠が必要か等、詳しくは、弁護士に相談するとよいでしょう。

Q20: 離婚後の生活費は請求できるのですか?

  • 当事者間で合意した場合や判決などがあればそれに基づく請求が可能ですが、そうでなければ離婚後に元配偶者に対して生活費などを請求することはできません。

 
(説明)
・子に関しては、要扶養状態にある限り、離婚後であっても両親は養育費を分担する義務を負いますので、養育している親が他方の親に養育費の請求をすることができます。
・一方、夫婦間の扶養義務は離婚によってなくなりますので、離婚後に元配偶者に対して自身の生活費を請求することはできません。
・離婚する時点で、夫婦間の金銭的な問題は、財産分与、慰謝料、年金分割で解決するのが一般的です。特に財産分与を決める際に、離婚後の生活費の意味合いを持たせて金額を調整することもありますが、財産分与の主たる目的とはされていません。そのため、裁判などで請求しても、婚姻期間の長さ、離婚についての有責性の有無や程度、互いの収入、疾病や障害を有しているかなどを考慮して、特に事情がある場合でなければ考慮されないことが多いのが現状です。このため相手方が了解しなければ現実に受領するのは困難と考えられます。

Q21: 数年前に離婚しましたが、元配偶者に慰謝料を請求することはできますか?

  • 離婚に伴う慰謝料は、離婚が成立した時から3年以内であれば、請求することができます。

 
(説明)
・離婚に伴う慰謝料は、相手方が責任を負うべき事由(不貞行為など)によって離婚せざるを得なくなったことによる精神的苦痛を損害として、その賠償のために支払われる金銭です。このような慰謝料の支払いを求める権利は、法律上「不法行為に基づく損害賠償請求権」に当たります。
・不法行為に基づく損害賠償請求権は、原則として、被害者または法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年を経過すると、時効によって消滅します。
・離婚に伴う慰謝料に関しては、離婚が成立した時点で「損害及び加害者を知った」ことになると考えられています。
・なお、婚姻中の個々の有責行為に対する慰謝料の請求権は、その有責行為があった時から3年を経過すると、時効によって消滅します。ただし、婚姻中に元配偶者から暴力を受けてケガをした場合など、相手方の有責行為で生命または身体を害された場合の慰謝料は、その行為の時から5年以内であれば、請求することができます。
・詳しくは、弁護士に相談するとよいでしょう。
【民法(債権法)改正について】
・以上の説明は、2020年4月1日に施行された改正後の民法の規定などに基づきます。
・施行日前に不法行為があった場合などには、改正前の規定が適用されることがありますので、ご注意ください。

Q22: 財産分与とは何ですか?

  • 財産分与とは、一般的には、離婚の際に、結婚生活の間に夫婦が協力して蓄積した財産を、公平の観点から清算することです。

 
(説明)
・結婚生活の間に夫婦が協力して蓄積した財産がある場合には、その名義が夫婦どちらか一方になっていても、財産分与を請求することができます。
・相続した財産や婚姻時に既に持っていた財産など、夫婦の協力とは関係のない財産(特有財産)は、財産分与の対象とはなりません。
・財産分与の話合いがつかないときは、家庭裁判所に財産分与の調停を申し立てて、裁判官と調停委員の仲立ちの下で解決することができます。
・まだ離婚していないときは、離婚の調停の中で、財産分与の請求を行うことが通常です。それで調停がまとまらなければ、財産分与単独で審判を行うよりも、離婚請求訴訟を提起し、その中で請求するのが一般的です。
・財産分与という名目で、実質的に、慰謝料や未払いの婚姻費用が考慮されることがあります。
・財産分与は、民法上、離婚から2年を経過すると請求できなくなります。

Q23: 離婚後であっても、財産分与を請求することができますか?

  • 離婚後であっても、一定の期間内であれば、財産分与の請求をすることができます。

 
(説明)
・財産分与は離婚の時から2年で請求できなくなります。
・相手が財産分与の支払に応じないときは、家庭裁判所に調停を申し立てて、裁判官と調停委員の仲立ちの下で解決することができます。
・2年を経過していても、離婚後に改めて、相手方と裁判外で財産分与の支払いの合意をすることは可能です。ただし、家庭裁判所の手続を利用できない以上、相手方に話合いを拒否されてしまった場合、財産分与を受けることはできません。
・財産分与とは別に離婚慰謝料を請求する場合には、慰謝料については、原則として離婚後3年間まで請求することができます。
・具体的な事案については、弁護士に相談することをお勧めします。

Q24: 配偶者の債務の保証人になっている場合、離婚した後も保証人として責任を負うのですか?

  • 離婚した後も、保証人としての責任を負います。

 
(説明)
・保証人は、主債務者(例えば、借金をした本人)が債権者(お金の貸主)に対して債務を履行しない(借りたお金を返さない)場合に、主債務者に代わってその債務を履行する(借金の返済を肩代わりする)責任を負っています。この責任は、保証人と債権者との保証契約に基づくものです。
・夫婦といえども別人格であり、法律上はそれぞれが独立して契約を結ぶことができ、それぞれが契約に基づく責任を負います。
・したがって、主債務者である配偶者と離婚したというだけで、保証人としての責任を負わなくてよいことにはなりません。
・保証人をやめたい場合には、債権者と交渉して、保証契約を解除してもらうことが必要です。この場合、主債務者と話し合って代わりの保証人を用意することや、不動産(土地や建物)を担保に入れるなどの対応を求められる可能性があります。
・詳しくは、弁護士に相談するとよいでしょう。

Q25: 離婚の際に、年金を分割することはできますか?

  • 被用者年金(厚生年金、共済年金など)は、年金分割の制度を利用することができます。

 
(説明)
・被用者年金(厚生年金、共済年金など)は、離婚の際に、年金分割(婚姻期間中の年金記録の分割)を請求することができます。国民年金(基礎年金部分)は、年金分割の対象となりません。
・2008年5月1日以降に離婚した場合、2008年4月1日以降の婚姻期間のうち、夫婦の一方が第3号被保険者であった期間の年金記録は、夫婦の一方の請求のみで分割手続ができます(3号分割)。それ以外の年金記録は、夫婦の合意に基づいて分割手続を行います(合意分割)。夫婦の間で話し合いが難しい場合には、家庭裁判所の調停手続を利用することもできます。
・離婚の際に年金の支給が始まっている場合、すでに受け取った年金(現金や預貯金として手元にあるもの)の分割手続はできません。もっとも、年金分割の制度とは別に、財産分与を求めることができる可能性はあります。
・詳しくは、年金事務所、各共済組合や日本私立学校振興・共済事業団(共済事業本部)、または弁護士などの専門家に相談するとよいでしょう。

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