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職場、労働

更新日:2023年7月4日

ご利用前にご一読ください。

  • FAQは、日本の一般的な法制度を紹介するものであり、個別具体的な相談に対する答えではありません。また、個別の事情によっては、日本の法制度が適用されない場合があります。
  • ここに掲載していないFAQがあるか知りたい方や、個別具体的な相談をなさりたい方は、多言語情報提供サービス(0570-08377)にお問合せください。相談内容に応じてFAQや相談窓口をお調べして、ご案内します。
  • FAQに基づき、個別具体的なトラブルを解決しようとし、何らかの損害が生じた場合でも法テラスでは責任を負いかねますので、ご了承ください。

目次

Q01: 外国人の就労が認められるためには、どのような在留資格が必要でしょうか?

  • 永住者等の就労活動に制限がない在留資格か、外交等在留資格に定められた範囲で就労が認められる在留資格が必要です。

 
(説明)

・日本に在留する外国人は、入国(上陸)の際などに与えられた在留資格の範囲内で、定められた在留期間に限って在留活動(就労等)が認められています。

・在留資格は29種類あり、うち24種類はその資格の範囲内で就労活動が可能です。

・24種類のうち、就労活動に制限がない在留資格は、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4種類です。

・在留資格に定められた範囲で就労が認められる在留資格は、外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習、特定活動(ワーキングホリデー、外交官の家事使用人等)の20種類です。

・他の5種類(文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在)は、就労活動が認められていません。ただし、資格外活動許可をされた範囲内で、就労できる場合もあります。

Q02: 就労資格証明書とは何ですか?

  • 就労資格証明書は、外国人が就労できる在留資格を有していること、特定の職種に就くことができることを証明する文書で、法務大臣が発給するものです。
  • 就労資格証明書により、外国人の方は、就職等の際に、自分が合法的に就労可能であることを証明することができます。また、外国人を雇用する側にとっても、就労可能なものであるか確認することができます。

 
(説明)
・就労することが認められている外国人が対象の証明制度です。
・在留資格のうち就労することができる在留資格を有していること、又は、就労することができない在留資格を有している者で資格外活動許可を受けていること、又は、就労することに制限のない在留資格を有していることが審査されます。
・基本的に申請した当日に証明書が交付されますが、勤務先を変えた場合などは、申請から証明書の交付までに1か月から3か月要します。
・外国人の方が転職を検討しており、転職先の仕事が、現在の在留資格で就労可能な活動に当たるかどうか判断に迷う場合には、この就労資格証明書の制度を利用して確認することを検討してもよいでしょう。
・転職先での業種、担当する職務内容などを具体的に示して就労資格証明書を申請し、その結果就労資格証明書を得られれば、転職先での仕事の内容が現在持っている在留資格の内容に適合することを事実上確認することができます。
・就労資格証明書が交付されない場合には、転職先での仕事が現在の在留資格に適合しないことになります。その場合には、転職先での仕事が他の在留資格に当たれば、在留資格変更の申請を行うことができます。資格変更申請も不許可となった場合には、転職はあきらめた方がよいでしょう。

Q03: 留学生は自由にアルバイトができるのですか?

  • 在留資格が「留学」または「就学」の外国人がアルバイトをするためには、「資格外活動許可」を受ける必要があります。
  • 許可を受けるためには、地方出入国在留管理局の窓口で申請する必要があります。

 
(説明)

・「留学」や「就学」の在留資格は、原則として、日本の大学、日本の大学に入学するための教育を行う機関、高等専門学校などにおいて教育を受ける活動だけが許されており、アルバイトは含まれていません。

・ただし、学費や生活費の不足を補うために、資格外活動許可を受けることにより、一定の限度でアルバイトを行うことができます。

Q04: 会社で雇用保険に入りました。外国人の私にも雇用保険の適用はあるのでしょうか。適用があるとして、どんな時に支払われますか。

  • 【合法に就労している外国人の場合】
    日本に在住して合法的に就労している外国人は、原則として、雇用保険の適用があります。
    雇用保険は、労働者が失業した時や、育児・介護休業等の時、また職業訓練校を受ける際に給付される公的な保険制度で、労働者も賃金の一定割合を負担しなければなりません。
    例えば、自己都合・解雇などで離職した場合、一定の条件を満たし、被保険者資格喪失届、離職票などを揃え公共職業安定所(ハローワーク)で求職の申し込み手続をして認められれば、基本手当を受給することができます。
  • 【在留資格がない外国人の場合】
    一方、在留資格がない(不法就労をしている)場合、雇用保険の被保険者にはなれません。
    したがって、不法就労している外国人の場合には、失業しても失業保険は給付されません。もし、あなたが不法就労しているのに雇用保険料を徴収されているのであれば、それは不必要な支払いになりますので、保険料の徴収を直ちにやめてもらうべきです。
    支払った雇用保険料は、失業給付を受けられなくても返還されません。

Q05: 私は外国人で日本語が読めず、口頭で労働条件を聞きましたが不安です。労働契約を交わしたいのですが、できるでしょうか。

  • 労働基準法では、労働契約を結ぶときに、雇い主は給料、労働時間などの労働条件を明記した書面を交付することになっています。
    契約書が日本語で書かれている場合は、母国語に翻訳してもらうなどして、必ず内容を確認しましょう。
    労働契約や就業規則などは、後々のトラブルを回避することにもなりますので大切です。
    また、労働に関する法律は、日本国内における労働者であれば外国人でも適用され、オーバーステイの移住労働者も例外ではありません。

Q06: 採用時に口頭で説明された労働条件が実際と違うのですが、何か主張できませんか?

  • 採用時の説明と同じ労働条件とするように是正を求めることができる場合があります。


(説明)
・本来、労働契約を締結する場合は賃金や労働時間等の一定の労働条件について、書面の交付により明示しなければなりません。しかし、書面ではなく口頭で明示されたにすぎない労働条件であっても、その労働条件は原則として労働契約の内容になるとされます。
・就業規則に定められた労働条件よりも、労働者にとって有利な労働条件の合意がなされたときは、その合意した労働条件が労働契約の内容となります。そのため、就業規則の規定を理由に、採用時に口頭で説明された労働者に有利な労働条件を一方的に引き下げることはできません。
・労働契約締結に際して使用者によって明示された労働条件が実際の労働条件と違う場合には、労働者から労働契約を即時解除できます。
・ 詳しくは、各都道府県労働局が設ける「総合労働相談コーナー」や弁護士等の専門家にご相談ください。

Q07: 勤務先から給料が支払われません。どうすればいいですか?

  • 対応としては、次のようなものがあります。
    (1) 勤務先に、内容証明郵便等で請求を行う。
    (2) 労働基準監督署に申告をして、監督権限の発動(行政指導を含みます。)を求める。
    (3) 裁判所に、未払賃金の支払いを求める訴訟や労働審判手続などの申立てをする。

(説明)
(1) 使用者は労働の対価として賃金を支払う義務があるため、使用者が賃金を支払わなければ労働契約違反になります。ただし、賃金の支払いを求める権利は、支払期日から3年(支払期日が2020年4月1日より前のものについては2年)を経過すると、時効によって消滅します。
・退職金についても、就業規則などに定めがある場合には、使用者に支払義務が生じます。退職金を求める権利の時効期間は、支払期日から5年です。
(2) 賃金の未払いは、労働基準法違反にあたり、監督官庁である労働基準監督署による取り締まりの対象になります。
・賃金の未払いがある場合、使用者は30万円以下の罰金に処せられます。
・賃金は労働者の生活維持に欠かすことができないものですので、労働基準法により次の原則が定められています。
(ア) 通貨払いの原則
賃金は通貨で支払わなくてはならない。現物支給(会社の在庫製品などの支給)は原則として認められない。
(イ) 直接払いの原則
労働者に直接支払わなくてはならない。第三者による中間搾取を防ぐ趣旨である。
(ウ) 全額払いの原則
労働者に全額支払わなくてはならない。労働者に対する金銭債権と相殺することは認められない。
(エ) 毎月1回以上一定期日払いの原則
毎月1回以上定期的に支払わなくてはならない。まとめて、あるいは不確定日に支払うことにより労働者の生活が不安定になることを防ぐ趣旨である。
・賃金とは、名称を問わず、使用者が労働の対価として労働者に支払うもののことをいいます。パート代、アルバイト代も賃金です。なお、「業務委託」として仕事をした場合でも、仕事をした者が「労働者」と認められるのであれば、賃金として請求できる可能性があります。
・給料のほか、賞与(ボーナス)や退職金も、「退職金規程」などの就業規則、労働契約、労働協約で支給すること及びその支給基準が規定されていれば、賃金となります。
(3) 裁判所に申し立てる手続は、未払賃金の額や事情に応じて、労働審判、少額訴訟、通常訴訟、支払督促、民事調停などのほか、賃金請求権の先取特権に基づく雇用主の財産に対する差押えや競売の申立て、雇用主の財産の保全手続(仮差押、仮処分)などを行うことも考えられます。
・訴訟等の裁判手続を執る場合には、個別の事案においてどのような方法を執るべきか判断が変わってきますので、弁護士等の専門家にご相談なさるとよいでしょう。

Q08: 勤務している会社に損害が発生し、その損害を負担するよう求められています。応じなくてはなりませんか?

  • 労働者の行為に故意や過失がない限り、労働者は損害賠償責任を負担しません。
  • 労働者が、労働契約に基づく義務違反や不法行為により使用者に損害を生じさせた場合には、労働者は損害賠償責任を負いますが、その額については、具体的事情により制限される場合があります。

(説明)
・労働者の行為と損害の発生との間に因果関係がなければ、労働者は損害賠償責任を負担しません。したがって、労働者の行為と無関係に損害が発生した場合には、労働者に損害賠償責任はありません。
・労働者の行為に故意や過失がない場合には、たとえ使用者に損害が発生しても、その賠償義務を負いません(過失責任の原則)。したがって、労働者の行為が原因となって損害が発生したとしても、労働者に故意または過失がない場合には、損害賠償責任を負いません。
・労働者に労働契約上の義務違反があり約束した義務を果たさない場合(債務不履行)や、不法行為により使用者に損害を与えた場合には、労働者は損害賠償責任を負います。しかし、労働者の故意過失の程度、労働者の労働条件、使用者のリスク管理の状況などによっては、使用者は生じた損害の全額について、労働者に対して請求することはできないとされています。
・これは、労働者を雇用して利益を得ている以上、通常発生するリスクについては、利益を得ている者(使用者)が負うべきであること、使用者は通常発生するリスクに関しては保険、労務管理等のリスク回避措置を取り得ることなどから、使用者の損害賠償請求権は、信義則(信義誠実の原則。権利の行使及び義務の履行は,信義に従い誠実に行わなければならないとする原則)により制限を受けると考えられているからです。
・労働者が損害賠償の責任を負うのか、負うとして金額はどの程度になるのかは、個別の事実関係に即して判断する必要がありますので、詳しくは、弁護士にご相談なさってください。

Q09: 職場で、いじめ(嫌がらせ、パワーハラスメント)を受けています。どうすればよいですか?

  • 上司や会社内のパワハラ相談窓口に相談しても解決しない、対処してもらえない場合は、外部の相談窓口(総合労働相談コーナーや弁護士等)に相談することが考えられます。
  • その行為の具体的内容によっては、いじめ(嫌がらせ、パワーハラスメント)を行っている者や使用者に対して損害賠償を求めることも考えられます。

(説明)
・「職場のいじめ、嫌がらせ」とは、仕事や人間関係で弱い立場に立たされた労働者に対して、精神的または身体的な苦痛を与えることにより、労働者の名誉、プライバシー、身体の安全、行動の自由などの利益または働く権利を侵害したり、職場環境を悪化させたりする行為です。
・「職場のパワーハラスメント」とは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為です。上司から部下へ行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものも含まれます。
≪パワーハラスメントのタイプ≫
パワーハラスメントのタイプには以下のものがあります。
(1) 暴行・傷害(身体的な攻撃)
(2) 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
(3) 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
(4) 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
(5) 業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
(6) 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
≪損害賠償責任≫
・使用者がいじめ、嫌がらせ、パワーハラスメントに関与している場合には、使用者といじめ等を行っている者は、共同不法行為者として、連帯して損害賠償責任を負う場合があります。また、使用者は、労働契約上、労働者の労務の提供に重大な支障が生じることを防ぐ義務がありますので、この義務に違反するものとして、損害賠償責任を負う場合があります。
・使用者がいじめ、嫌がらせ、パワーハラスメントに関与していない場合であっても、いじめ等が職務に関連して行われているときは、使用者は、使用者としての損害賠償責任を負う可能性があります。また、使用者は、労働契約上、労働者にとって働きやすい職場環境を保つように配慮する労働契約上の義務があることから、この義務に違反するものとして、債務不履行による損害賠償責任を負う場合があります。
・損害賠償を請求する前には、事案に応じて、次のような対応をとることが考えられます。
(1) 事実経過や加害者の言動等についてメモを作成する、録音をするなどして、証拠を残しておくこと
(2) 使用者に対して、内容証明郵便を送付して、いじめ、嫌がらせを止めるように要求すること
(3) 民事調停の申立てをして(2)と同様の措置を求めること
(4) 法務局(人権相談)または弁護士会の人権擁護委員会に申し立てること
(5) 暴行罪、脅迫罪、名誉毀損罪等で告訴すること

Q10: 職場でセクハラを受け、悩んでいます。どうすればいいでしょうか?

  • 職場でセクハラ(セクシュアルハラスメント)を受けた場合には、企業が設置した苦情相談窓口に申し立てることが考えられます(多くの企業では、従業員がセクハラに遭った場合の相談窓口を設置しています。また、事業者は、社内の相談窓口に相談した従業員が不利益な取扱いを受けないような措置を講じる義務があるとされています。)。
  • セクハラによって精神的な苦痛を被ったとして、事業主と加害者の双方に対して、損害賠償請求することも考えられます。
  • セクハラの内容にもよりますが、強要罪等に当たるケースもあります。


(説明)
・男女雇用機会均等法では、事業主は、セクハラについて、雇用管理上必要な措置を講じなければならないものと定められています。
・このほか、男女雇用機会均等法に基づき、都道府県労働局に相談し、解決のための援助を求めることができます。
・男女雇用機会均等法では、労働者が労働局などの行政官庁に相談したことを理由として、解雇などの不利益な取扱いをすることを禁止しています。
・セクハラを拒否したことによって担当業務から外されることは、対価型セクシュアルハラスメント(職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応によって、労働条件につき不利益を与えること)に該当する可能性があります。
・セクハラは加害者が不法行為責任を問われるだけでなく、事業主も、「使用者責任」(人を雇用して利益を得る者はそこから生じる責任も負担すべきとする責任)を問われ、損害賠償の責任を負うことがあります。
・もっとも、実際に損害賠償請求がどこまでできるかは事案に即した判断が必要であるため、詳しくは、弁護士等の専門家にご相談なさるとよいでしょう。

Q11: 上司から嫌がらせを受けて、退職しました。勤務先に責任を問うことができますか?

  • 勤務先が組織的に嫌がらせをしたときには、勤務先に対して、不法行為に基づく損害賠償を求めることが考えられます。
  • 勤務先が組織的に嫌がらせを行っていなかったとしても、勤務先には、嫌がらせをした上司や従業員を使用する者としての「使用者責任」がありますので、不法行為に基づく損害賠償を請求することが考えられます。
  • 勤務先には、労働者の職場環境に配慮する義務があると考えられますので、債務不履行に基づいて損害賠償を求めることも考えられます。


(説明)
・「使用者責任」とは、人を使用して利益を得ている者は、使用(雇用)している者が他人に与えた損害も負担すべきという責任のことです。
・雇用契約の中には、職場環境に対する雇用者側の配慮義務が含まれており、その一環として、雇用者側には従業員の働きやすい環境を整える義務があります。そこで、勤務先がこの義務に違反して従業員に損害を発生させた場合には、従業員は、勤務先に対し、債務不履行に基づく損害賠償請求が可能です。
・従業員が被った損害としては、精神的苦痛を受けたことによる慰謝料、嫌がらせがなければ勤務が継続できたにもかかわらず辞めざるを得なかったことで得られなかった賃金相当額分の損害などが考えられます。
・不法行為または債務不履行に基づく損害賠償が可能であるかどうかは、その嫌がらせの程度や、立証の有無程度にもよります。
・また、職場でのいじめが暴行、傷害、名誉棄損等の刑事罰に触れる場合には、加害者の処罰を求めることも考えられます。
・パワハラに関して、職場におけるパワハラ防止のために、雇用管理上必要な措置(事業主によるパワハラ防止の社内方針の明確化・周知や、相談体制の整備、被害を受けた労働者のケアなど)を講じることが事業主の義務とされています。罰則はありませんが、適切な措置を講じていない場合、当該事業主は厚生労働大臣による是正指導の対象となり、これに従わない場合、事業主の名称が公表される可能性もあります。
・また、パワハラに関する紛争が生じた場合、調停など個別紛争解決援助の申出ができるようになります。
・セクハラの防止に関しても、上記と同様の事業主の義務、義務違反の場合の名称の公表、個別紛争解決援助の制度が設けられています(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)。
・詳しくは、弁護士等の専門家にご相談なさるとよいでしょう。

Q12: 会社内で同僚から暴行を受け、ケガをしました。誰にどのような請求をすることができますか?

  • 加害者個人(同僚)と使用者(会社)の一方または双方に対して、不法行為に基づく損害賠償請求をすることが考えられます。
  • 使用者(会社)に対して、債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができる場合があります。
  • 業務に起因した負傷であると労働基準監督署長に認定されれば、労災保険(労働者災害補償保険)の給付を受けることができます。

(説明)
・不法行為に基づく損害賠償については、
(1) 加害者個人に対しては、請求できると考えられます。
(2) 使用者が組織的に指示をして暴行を行わせたような場合には、使用者自身の行為として、使用者に対して請求できると考えられます。
(3) 使用者が直接関与していなくても、「使用者責任」(人を使用して利益を得ている者はそこから生じる不利益も負担すべきという責任)を理由として、使用者に対して損害賠償請求をできる場合があります。
・債務不履行に基づく損害賠償については、使用者には、労働契約の付随義務として、労働者の職場の環境など労働者の生命身体の安全に配慮する「安全配慮義務」がありますので、これを怠ったとして、請求できる場合があります。
・加害者個人にも使用者にも請求できますが、同じ加害行為から生じた損害の補填を求めるものですので、両者に対して別々に請求しても、重複した補填がなされないよう損害額が調整される場合が考えられます。
・業務上の負傷であるとして労災保険給付が支給された場合にも、保険給付と損害賠償金との間で重複した補填がなされないように一定の調整がなされます。
・損害賠償請求については、弁護士等の専門家にご相談なさるとよいでしょう。

Q13: 外国人が労働中に怪我をした場合、補償されますか?

  • 外国人の労働災害についても、労災保険が適用されます。
  • また、使用者に民事上の責任を追及することもできます。

(説明)
・労災保険法上、「労働者」の範囲に制限はなく、資格外活動の範囲を超えたアルバイトや、不法就労の場合も保険適用があります。
・事業所を管轄する労働基準監督署に労災申請をすることになります。
・不法就労者による申請の場合、旧労働省が1990年にした内部通達により、少なくとも労働災害の事実関係の調査が終わるまでは入国管理局への通報は差し控えることとされています。
・そのほか、使用者の安全管理に問題がある場合は、民事上の責任を追及することができます。

Q14: 労災保険の給付を受けたいのですが、会社が労災を証明してくれません。どうすればいいですか?

  • 労災保険の給付は、被災労働者本人(または遺族)が、労働基準監督署長に請求します。
  • 事業主が労災を証明しない場合でも、労災保険の請求書は受理されます。

(説明)
・労災保険給付には、療養(補償)給付、休業(補償)給付、傷病(補償)年金、障害(補償)給付、遺族(補償)給付、葬祭費(葬祭給付)、介護(補償)給付等があります。
・いずれについても、労災保険給付の申請は、ご自身が所属する事業場を管轄する労働基準監督署長に申請します。
・労災保険給付の請求書には、事業主が労災であることを証明する欄が設けられています。また、労働者災害補償保険法施行規則には、事業主は、労働者から労災保険給付を受けるために必要な証明を求められたときは、すみやかに証明をしなければならないと定められています。
・もっとも、事業主が労災であることを否定して証明を拒んだ場合などは、事業主の証明欄が空欄であっても、労災保険の請求書は受理されます。このような場合には、請求の際に、災害の原因や発生状況について事業主が証明してくれない旨を文書で添付するとよいでしょう(書式に特に決まりはありません。)。
・労災保険給付の請求書は、労働基準監督署にあります。また、厚生労働省のホームページからダウンロードすることもできます。

Q15: パワハラ、セクハラ、長時間労働等によってうつ病になった場合、労災保険給付は受けられますか?

  • 以下のいずれの要件にも該当する場合は、業務上の疾病と認定され、労災保険給付を受けることができます。
    (1) 労災認定の対象となる疾病(うつ病、急性ストレス反応など)を発病していること
    (2) 当該疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
    (3) 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により当該疾病を発病したとは認められないこと

(説明)
・厚生労働省は、業務における心理的負荷による精神障害について、労災の認定基準を示しています(平成23年通達「心理的負荷による精神障害の認定基準について」)。この認定基準で示されている3つの要件が(回答)記載のものです。
・要件(2)の心理的負荷に関して、例えば、生死に関わる業務上の病気やけがをした場合、本人の意思を抑圧してなされたわいせつ行為などのセクシュアルハラスメントを受けた場合、直前の1か月の160時間を超える時間外労働があった場合などは「特別な出来事」とされ、これだけで業務による強い心理的負荷があるものと認められます。そこまでいかなくても、パワハラ、セクハラ、長時間労働の状況(出来事の数、期間、その他の事情)に即して、その心理的負荷の強度が評価され、その結果、心理的負荷が「強」と判断されることがあります。
・詳しくは、労働局、労働基準監督署、あるいは、弁護士などの専門家にご相談なさってください。

Q16: 退職したいのですが、引き止められて辞めることができません。どうすればいいでしょうか?

  • 労働契約に期間の定めがないか、あるかによって結論が異なります。
  • ≪期間の定めのない労働契約について≫
    期間の定めのない労働契約に基づく労働者は、いつでも一方的な意思表示によって、労働契約を解消することができます。使用者が退職を承認しない場合でも、退職を申し出た日から起算して14日経過すれば、退職となります。
    ただし、離職票発行のトラブルなどを避けるためには、就業規則で定める退職に関する手続を執ることが望ましいと考えられます。
  • ≪期間の定めのある労働契約(有期労働契約)について≫
    期間の定めのある労働契約に基づく労働者の場合、原則として、その期間は働く義務があります。
    ただし、有期労働契約であっても、一定の場合について、労働者の意思で退職することが認められる例外が設けられています。

(説明)

≪期間の定めのない労働契約について≫
・期間の定めのない労働契約に基づく労働者は、いつでも退職を申し出ることができます。
・使用者から慰留されて退職を決断しにくいケースもありますが、労働者は、自由意思によって退職することができます。
・退職の方法について、就業規則に退職に関する手続の定めがあれば、原則としてそれに従うのが望ましいといえます。就業規則に退職の方法の定めがなければ、退職を申し出た日から起算して14日経過すれば、退職となります。なお、円満に退職手続を進められない場合は、後日、退職の意思表示があったかなかったかが争い(「もう辞めた」、「まだ辞めていない」の争い)になるおそれがあります。そのような争いとなることに備えて、退職の意思表示は、配達証明付き内容証明郵便などの文書によって行うことが望ましいといえます。
・期間の定めのない労働契約に基づく労働者の典型的な例は、いわゆる正社員ですが、パートやアルバイトなども期間の定めがないことがあります。もっとも、「正社員」「パート」「アルバイト」という用語は、法律上の用語ではないため、社内でこれらの肩書が付いているからといって、必ずしも期間の定めのない労働契約に基づく労働者であるとは限りません。期間の定めがあるかどうかは、雇用契約書や労働条件通知書で確認するようにしましょう。
≪期間の定めのある労働契約(有期労働契約)について≫
・労働契約に適法な契約期間の定め(原則として3年以内。厚生労働省が定める高度な専門職や満60歳以上の労働者については5年以内。)がある場合、原則として、労働者は、その期間中、一方的に退職することはできません。もっとも、有期労働契約の場合でも、「やむを得ない」事情がある場合には、労働者は即時に退職することができます。
・「やむを得ない」事情があるといえるかどうかは、事案に応じて個別に判断されることになります。
・期間の定めのある労働契約(有期労働契約)に基づく労働者の典型的な例は、いわゆる契約社員です。登録型の派遣労働者も派遣元との間で期間の定めのある労働契約を結んでいることになります。もっとも、社内での肩書にとらわれず、個別の契約内容を確認する必要があるでしょう。
≪無期雇用、有期雇用の双方に関する相談先≫
・詳しくは、都道府県の労働局や各地の労働基準監督署内に設けられた総合労働相談コーナーや弁護士に相談するとよいでしょう。

Q17: 突然解雇されました。どうすればいいでしょうか?

  • 使用者に対して、解雇の理由を書面で明らかにするように求めるべきです。
  • 解雇に納得がいかない場合には、配達証明付きの内容証明郵便を送って、働く意思があることを表示するとよいでしょう。

(説明)
・使用者が示す解雇の理由としては、以下のものが考えられます。
(1) 労働能力が欠けていること
(2) 労働者が就業に適しないこと
(3) 労働者が就労規則等に違反したこと
(4) 使用者の経営上の必要(業績の悪化など)
・使用者が解雇をする場合、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当でなければ、解雇権の濫用として解雇は無効となります。解雇の無効を主張して、働く意思があることを示した上で、解雇期間中の賃金を請求することが考えられます。
・使用者が、解雇予告手当や退職金を口座に振り込んできたときは、使用者に対して配達証明付きの内容証明郵便を送付し、本来支払われるべき賃金に充てる旨を通知することも考えられます。
≪その職場で働き続ける意思がない場合≫
・仮に、その職場で働き続ける意思がないときは、解雇が不法行為にあたるとして、使用者に対し、逸失利益(相当期間の賃金相当額)や慰謝料を請求することが考えられます。
・また、解雇の予告がなされていないのに解雇予告手当が支払われていなければ、解雇予告手当の支払いを請求することが考えられます(使用者は、労働者を解雇しようとするときは、少なくとも30日前に解雇の予告をする必要があり、解雇の予告をしないときは、30日分以上の平均賃金(原則として、解雇通知以前の3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割り算した金額)を支払う必要があります。)。
・解雇予告手当を支払った日数分、解雇の予告の日数を短縮することもできます。
・解雇の時から2年以内(なお、改正後の労働基準法(2020年4月1日施行)が適用される場合には、当分の間、「解雇の時から3年以内」となります。)に、解雇予告手当の支払いを求めて訴訟を提起したときは、解雇予告手当と同額の金銭(付加金)の支払いを命じるように、裁判所に別途請求できます。ただし、付加金の支払いを認めるか、いくら認めるかは裁判所の裁量になります。
≪解雇について相談したい、解雇を争いたいという場合に考えられる手続≫
・事業場(勤務先)の所在地を管轄する労働基準監督署や都道府県労働局(総合労働相談コーナー、労働局長による助言・指導、紛争調整委員会によるあっせん)に相談することも考えられます。
・地方裁判所に労働審判を申し立てることや、民事訴訟を提起することが考えられます。
・簡易裁判所に民事調停を申し立てることも考えられます。
・給料の未払いにより生活費が困窮している場合などには、裁判所による早期の判断を求めて地方裁判所に仮処分を申し立てることが考えられます。
「地位保全の仮処分」は、雇用されていることを仮に認めてもらうためのものです。
「賃金仮払いの仮処分」は、賃金を仮に支払ってもらうためのものです。
・仮処分を申し立てるときは、別途、訴えを提起(本案を提起)する必要がありますが、保全手続の中で話し合い(和解)がまとまり、本案訴訟を提起することなく、迅速に解決できる場合もあります。
・どの方法をとるのが適切か、どのような請求をすべきかは、個別の事例に則して判断をしなければなりませんので、詳しくは、弁護士等の専門家にご相談なさるとよいでしょう。

Q18: 私は外国人で仕事を辞めましたが、まだしばらく日本に滞在する予定です。何か必要な手続きがありますか。

  • 毎月社会保険料を支払っていたのなら、雇用保険が適応され、失業給付を受けることができます。
  • また、厚生年金から国民年金への加入変更や、3ヶ月を超える期間滞在予定であれば、国民健康保険への加入手続きが必要になりますので、お住まいの市町村のそれぞれの担当窓口に相談してください。

(説明)

・合法的に就労している外国人の場合、雇用保険の適用を受けますので、社会保険料を支払っていれば、失業保険を受けることができます。

・一方、在留資格のない不法就労者には雇用保険の適用はありませんので、失業給付はなされません。

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